2005 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ・ヘテロダインセンシングで探る銀河系星間ガスの相変化
Project/Area Number |
14204013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 智 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80182624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 朋治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10291056)
野口 卓 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (90237826)
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Keywords | 星形成 / サブミリ波 / 星間分子雲 / 銀河系 / 電波望遠鏡 / 中性炭素原子 / テラヘルツ / 超伝導 |
Research Abstract |
本研究では、超伝導ホットエレクトロンボロメータ・ミクサを用いたテラヘルツ帯の高感度受信機を開発し、それを用いて窒素イオンのテラヘルツ輝線の銀河面広域観測を実現する。これにより、プラズマ雲が分子雲形成に果たす役割を解明する。同時に、富士山頂サブミリ波望遠鏡を用いて、中性炭素原子の広域観測を展開し、中性原子ガスから分子ガスへの相変化を広範に調べる。 本年度は、昨年度に引き続き、超伝導ホットエレクトロンボロメータ・ミクサ素子の開発を進めた。Nbを超伝導物質とする拡散冷却型の素子については、素子インピーダンスが数100Ωと大きいことが問題となっていた。薄膜の基本的な性質を詳細に調べる実験を行ったところ、それがNb膜とAu膜の接触抵抗に起因することを突き止めた。そこで、その接触抵抗を低減する設計にしたところ、インピーダンスは20Ω程度になり、良好な直流特性を示した。また、800GHz帯において高周波に対するレスポンスを確認し、素子がボロメータとして動作していることが示された。これにより、Nbを超伝導物質とする拡散冷却型素子の実現に目処をつけることができた。 一方、富士山頂サブミリ波望遠鏡による観測では、典型的な暗黒星雲であるおうし座暗黒星雲群における分布の解析を進めた。その結果、中性炭素原子と一酸化炭素分子の存在量比は暗黒星雲群のサブグループごとに異なっており、それがそこでの星形成履歴と関係していることを突き止めた。すなわち、過去に星形成を活発に起こしたサブグループでは中性炭素原子が比較的少なくなっている。このことは、中性炭素原子が分子雲の形成進化を研究するのに非常に優れたトレーサーであることを示している。これについては、6月と2月に行われた国際会議で発表し、現在、論文をまとめている。
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Research Products
(1 results)