2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14204014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧島 一夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20126163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 あや 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 日本学術振興会特別研究員
国分 紀秀 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50334248)
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Keywords | ブラックホール / 宇宙X線 / 降着円盤 / 科学衛星 / 大気圏外観測 / 近傍銀河 / コンプトン散乱 |
Research Abstract |
近傍の渦巻銀河には異常に明るいX線の点源が見られ、20年来の謎となってきた。我々はそれらをULX(Ultra-Luminous X-ray Source;超光度X線天体)と名づけ、「あすか」衛星を用いて観測した結果、それらが太陽の数十倍から数百倍の質量をもった新種のブラックホールであるという独創的な解釈を提唱するに至った。本研究の目的は、この解釈を観測から検証することにある。本年度は、以下のような重要な成果を通じ、ULXのブラックホール仮説をひじょうに強めることに成功した。 1.いくつかの国際学会などで活発に成果を公表した結果、我々が2000年に提唱したULXという呼称が、国際的に標準の用語として通用するようになった。 2.チャンドラ衛星の公募観測により数個のULXの位置を高精度で決定した。その位置を東京大学のハワイMAGNUM望遠鏡で観測し、光学対応天体を探査した。 3.チャンドラおよびXMMニュートン衛星の公開データを用い、近傍銀河にある約40個のULXを研究した結果、多温度黒体放射(MCD)スペクトルを示すものと、べき関数(PL)スペクトルを示すものが、ほぽ同数あることが判明した。これは「あすか」の成果を強めるもので、杉保昌彦の博士学位論文となった。 4.これまでMCD型ULXはブラックホール連星のソフト状態に対応し、PL型ULXはそのハード状態に対応すると考えていたが、新たに前者はスリム降着円盤状態、後者はコンプトン円盤状態に対応するという考えを提唱した(Kubota, Done&Makishima 2002)。これにより、ULXのいくつかの矛盾が解決された。 5.ブラックホール新星、ULX、狭線セイファート銀河を、降着率の高いブラックホールという立場で統一的に解釈する描像を提唱した(Makishima et a1.2003)。
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[Publications] A.Kubota, C.Done, K.Makishima: "Another interpretation of the power-law-type spectrum of an ultraluminous compact X-ray source in IC 342"Monthly Notices of Royal Astronomical Society. Vol.337. L11-L15 (2002)
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[Publications] Y.Ezoe, N.Iyomoto, K.Makishima, G.Hasinger: "Long-term X-ray Variability of Quasars in the Lockman Hole Field Observed with ROSAT"Publication of the Astronomical Society of Japan. Vol.54. 981-986 (2002)
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[Publications] K.Makishima, M.M.Murakami, M.Sugiho, H.Takahashi, A.Kubota, Y.Kobayashi: "Intermediate Mass Black Holes and their Relation with AGN"Active Galactic Nuclei ; from Central Engine to Host Galaxy(ASP Conference Series). Vol.290(印刷中). (2003)