2004 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ドットにおける光励起電子・スピン系の動的過程の研究
Project/Area Number |
14204030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60004503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 昌明 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (60240818)
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Keywords | 塩化第一銅 / 半磁性半導体 / 分子線エピタキシー / 量子ドット / 位相緩和 / 励起子 / 励起子分子 / 磁気円二色性 |
Research Abstract |
3年目は超高速分光装置、磁気分光装置を用いた各種量子ドット、磁性イオンを含む超薄膜と混晶についての光物性実験を継続した。その結果、以下の成果が得られた。 1.NaCl単結晶マトリックス中のCuCl量子ドットにおいて励起子分子二光子共鳴励起によって、角運動量J=0のスピン1重項励起子分子状態以外に、スピン三重項励起子分子状態に対応するJ=2の状態への吸収が観測され、通常のバルク結晶では観測されない励起状態が量子ドット中では比較的安定に存在することを示した。 2.ゾルーゲル法で作製したTiO_2:Co微粒子薄膜において、SQUIDにおいて室温で強磁性的な性質を示すことを見出した。しかし、発光は幅広のため、巨大ゼーマンシフトのような現象は光学的には見出されておらず、現在のところCoドーピングの効果であるかどうかは未確定である。 3.CdMnTeバルク結晶において、混晶系の濃度揺らぎに基づくポテンシャル揺らぎで生じた量子井戸中に閉じ込められた局在励起子について、通常の磁気ポーラロン発光エネルギーの磁場シフト率よりもはるかに大きな磁場シフト率を持った特異な励起子高密度効果による非線形発光が多数分裂して存在することを明らかにした。磁気ポーラロン多体効果の可能性を検討している。 4.今年度は非線形光学現象を捉えるのに簡便でコンパクトなHe循環型クライオスタットを購入した。低振動対応品のため、顕微分光における位置精度を維持できることが分かった。 来年度は、以上の研究成果を踏まえて、磁気円2色性などを駆使して、量子ドット、量子構造における磁場効果、3重項励起子の寄与等について研究をまとめる予定である。 同じく来年度は、国際会議、物理学会、ナノ学会等で研究成果発表を計画している。
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Research Products
(6 results)