2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14204038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60159019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 武昭 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20332596)
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Keywords | 動的非対称性 / 高速3次元像観察 / 構造形成ダイナミクス / コロイドの凝集 / 粘弾性相分離 / 過渡的ゲル / レーザ走査共焦点顕微鏡 / ネットワーク構造 |
Research Abstract |
我々は、高分子溶液系のような大きな分子と小さな分子を混ぜた混合系において、これまでに知られている相分離様式では説明できないまったく新しいタイプの相分離現象を見出し、高分子系においてはいくつかの系で既にこの現象の普遍性を確認している。粘弾性相分離の本質的な起源が成分間の動的な非対称性にあるという我々の主張が正しければ、最も単純な動的に非対称な系といえるコロイド分散系においても同様に、粘弾性相分離が観察されるはずであると考え、コロイド分散系の凝集過程の構造形成ダイナミクスを観察した。 試料として、蛍光ポリスチレンラテックス粒子を用い、今回の実験では、透析膜を利用した独自のサンプルセルを作成した。このセルによりコロイド溶液中に徐々に塩を添加することができ、コロイド分散系の凝集過程を初期段階から観察することに成功した。また、三次元系における構造形成のダイナミクスを観察するために、1秒以内で三次元像を得ることができる高速レーザ走査型共焦点顕微鏡を開発し、これを用いて研究を行なった。一般的にコロイドの凝集過程は、粒子の拡散運動によって支配されるDLCA機構などによって記述することができると考えられてきたが、本研究で得られた凝集の振る舞いは、それらの予測する挙動と大きく異なるものであった。凝集初期において、コロイド粒子の濃度はO.25v%と極めて低いにも関わらず、凝集構造はネットワークを形成し、そのネットワークがちぎれることにより次第に凝集構造は粗大化していく。我々は、この振る舞いが高分子系で観測している粘弾性相分離初期における過渡ゲルの形成とその破壊による構造形成過程と同様のものであり、我々の提唱する粘弾性相分離の普遍性を示すものと考えている。また、このことはネットワーク構造を利用した粒子系による新しい機能性複合材料の開発の可能性を示すものと期待している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hajime Tanaka: "Simple view of waterlike anomalies of atomic liquids with directional bonding"Physical Review B. Vol.66No.6. 064202 (2002)
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[Publications] Shinsaku Takagi, Hajime Tanaka: "Phase-coherent Rayleigh scattering method : Application to thermal diffusion mode"Review of Scientific Instruments. Vol.73No.9. 3337-3344 (2002)
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[Publications] Hajime Tanaka, Mamoru Isobe, Jun Yamamoto: "Spontaneous Partitioning of Particles into Cellar Structure in a Membrane System"Physical Review Letters. Vol.89No.16. 168303 (2002)
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[Publications] Hajime Tanaka, Takehito Koyama, Takeaki Araki: "Network formation in viscoelastic phase separation"Journal of Physics : Condensed Matter. Vol.15No.1. S387-S393 (2003)
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[Publications] Yasutaka Iwashita, Hajime Tanaka: "Optical Manipulation of Defects in a Lyotropic Lamellar Phase"Physical Review Letters. Vol,90No,4. 045501 (2003)
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[Publications] Hajime Tanaka: "Relation between Thermodynamics and Kinetics of Glass-Forming Liquids"Physical Review Letters. Vol,90No,5. 055701 (2003)