2002 Fiscal Year Annual Research Report
マントルにおけるメルト・岩石反応系のメルト輸送の物理化学
Project/Area Number |
14204050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 一仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90160853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 以知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40211966)
永原 裕子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80172550)
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Keywords | 上部マント / かんらん岩 / 珪酸塩メルト / メルト輸送 / 固相-液相反応 |
Research Abstract |
マントルにおいて形成されるマグマの化学組成や生成量の支配要因として重要な、メルト輸送の物理過程を明らかにするために、部分溶融合成系マントル物質中のメルトを実験装置内で浸透流として移動させ、その物理化学過程を解析し、融解過程のダイナミクスを理解することを目的としている。 本年度は、メルト移動の駆動力となる圧力勾配を生成するためのダイヤモンド集合体中のメルト移動過程に焦点を当てて研究を進めた。メルトの物性の影響を評価するために、ピストンシリンダー装置を用い様々な粘性や表面張力を示す金属をその融点直上でダイヤモンド集合体に注入しその移動速度や移動フロントの形態を観察した。金属を単独でグラファイト容器中でダイヤモンド集合体に接しさせた場合と、50%以上のフォルステライトと金属を混合した場合について検討した。実験では、1GPaまで加圧した後、金属融点から10℃程度上にできるだけ早く温度を上昇させた。実験時間は、5分から30分程度で、急冷の後に減圧し実験試料を回収し、圧縮軸に平行な断面を琢磨した後SEMで観察した。メルトを単独で注入した場合には、Auは、ピストン加圧面にほぼ平行でdiffuseなフロントを形成しながら移動した。しかし、場合によって非常に不規則な樹枝状分布を示しながら注入される場合もあった。後者は、加圧が不均一なために圧力不安定に起因して生じるものと考え、メルトソースとして、金属とフォルステライトの混合物を用いて同様の実験を行った。この場合には、GeとAuでは、樹枝状分布が形成された。フォルステライトと金属の混合物は安定に存在していることから、このような不規則分布は、ダイヤモンド中の移動速度が大きいのに対して、供給側のフォルステライト金属集合体からの供給速度が遅いためであると考えられる。定量的に表面張力や粘性の効果を決めるために実験の定量的な解析を行っている必要がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tachibana, S., Tsuchiyama, A., Nagahara, H.: "Incongruent evaporation kinetics of enstatite (MgSiO_3)1.Evaporation experiments"Geochim.Cosmochim.Acta. 66. 713-728 (2002)
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[Publications] Young, E.D., Galy A., Nagahara, H: "Different mass-dependent isotope fractionation laws in nature and their geochemical and cosmochemical significance"Geochim.Cosmochim.Acta. 66. 1095-1104 (2002)