2004 Fiscal Year Annual Research Report
マントルにおけるメルト・岩石反応系のメルト輸送の物理化学
Project/Area Number |
14204050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 一仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90160853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永原 裕子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80172550)
清水 以知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40211966)
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Keywords | 上部マントル / かんらん岩 / 珪酸塩メルト / メルト輸送 / 固相-液層反応 / 結晶方位定向性 |
Research Abstract |
本研究は、メルトを部分溶融合成系マントル物質中を浸透流として移動させ、その物理化学過程を解析し、融解過程のダイナミクスを理解すること目的としている。今年度は、昨年度行った固液共存層中のメルト移動実験の生成物についてかんらん石の方位定向性(LPO)解析を行った。フォルステライト-アルバイト系では、斜方輝石が多量に形成されるため、解析はかんらん石のみを固相として持つフォルステライト-ひすい輝石系について行った。 昨年度導入したSEM-EBSD装置を用いて、試料の全体に渡って方位マッピングを行った。試料としては、粒子径を揃えず、幅広い粒径分布を持つかんらん石粉末(最大80μm)を前処理なしで用いたものと、粒子径を10〜20μmに揃え、いったん1.0GPa,1300〜1200℃でダイヤモンド粉末なしで液-フォルステライト界面を組織平衡に達しさせた後にそのままダイヤモンド粒子集合体に接触させたものの二つを行った。両者ともにダイヤモンド粉末に接触しているところで、明瞭な液分率の低下が認められた。前処理なしの試料では、顕著な{010}が圧縮軸方向に、{100}が圧縮軸に直交する面内でガードルをなすLPOが認められた。この試料については、同様のLPOが、ダイヤモンドとの接触面近傍でも認められたが、離れた部分に比べて弱かった。一方、前処理をしたものは、顕著なLPOは認められなかった。また、同じ実験時間にもかかわらず、粒径を揃えなかった実験で、効率的にメルトが分離した。こうした違いは、粒径がそろっておらず組織平衡に達していない場合には、かんらん石の転移クリープと、回転など粒子配置の再構成によってメルト分離が促進されるのに対し、細粒で組織平衡に達した場合には、拡散クリープなどLPOを発達させない変形によってメルト分離がゆっくりと起きたことを示していると解釈される。
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