2002 Fiscal Year Annual Research Report
二次有機エアロゾルの化学組成と水素気凝結特性:大気環境への影響評価
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14204055
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
持田 陸宏 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10333642)
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Keywords | 二次有機エアロゾル / エアロゾルの水蒸気吸収特性 / 粒子発生装置 / エアロゾルの粒径分布 / エイトケン粒子 / タンデム型DMA装置 / 測定の自動化 / 森林観測 |
Research Abstract |
本年度は、エアロゾルの水蒸気特性を測定するためにタンデム型ディファレンシャルモビリティアナライザー(TDMA)装置の開発を行った。特に試料空気の湿度制御部分の作製を中心に進めた。具体的には、Nafion膜で仕切られた二重管の内側に粒子を含む試料空気(0.3-1 liter/min.LPM)、外側に湿度を制御(10-100%)した空気(1-5LPM)を流すシステムを組み上げ、試料空気の湿度制御を試みた。外側の空気の湿度調節は、加湿器により水蒸気濃度を飽和させた空気と相対湿度10%以下の乾燥空気の混合をマスフローコントローラ(MFC)で調整することにより行った。また、パソコンによりMFCの制御を行い、粒子を含む試料空気の湿度制御を自動化した。 試作した装置の性能を評価するために、粒子発生装置(TSI 3076)により生成した塩化ナトリウム粒子をDMA装置に導入し、その吸湿特性の測定を行った。1段目のDMAにより試料空気中のNaCl粒子の粒径サイズを100nmに揃え、上述の湿度制御部分を通過させた後、2段目のDMAにより粒径分布を測定したその結果、>75-80%以上の相対湿度においてNaCl粒子のサイズの増大が確認された。また、得られた特性曲線は文献値と良い一致を示した。このことから、本研究で組み立てたTDMA装置は今後のエアロゾルの水蒸気特性の測定に使用可能であるととが確認された。 今後の実大気エアロゾルの水蒸気特性の測定に対する予備観測として、2002年度夏季に北海道大学雨龍演習林において、森林起源二次有機エアロゾルの観測を行い、二次有機エアロゾルの化学成分分析を行った。水蒸気特性測定用タンデムDMA装置は湿度制御部が開発途中のため、粒径分布の測定性能の確認に留まったが、日射強度、気温の上昇に伴うエイトケン粒子の増加とその粒径分布の明確なシフトが確認することが出来た。また、その時の粒子数は、今後の水蒸気特性の測定に十分であることが確かめられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Saito: "Stable carbon isotopic compositions of light hydrocarbons over the western North Pacific and implication for their photochemical ages"Journal of Geophysical Resserch. 107,D4. ACH2-1-ACH2-9 (2002)
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[Publications] J.Fang: "Carbon isotopic composition of fatty acids in the marine aerosols from the western North Pacific : Implication for the source and atmospheric transport"Environmental Science & Technology. 36. 2598-2604 (2002)
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[Publications] M.Narukawa: "Dicarboxylic acids in the arctic aerosols and snowpacks collected during ALERT2000"Atmospheric Environment. 36. 2491-2499 (2002)
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[Publications] M.Mochida: "Fatty acids in the marine atmosphere : Factors governing their concentrations and evaluation of organic films on sea-salt particles"Journal of Geophysical Resserch. 107,D17. 4325,doi:10.1029/2001JD001278 (2002)
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[Publications] S.Matsunaga: "In situ measurement of isoprene in the marine air and surface seawater from the western North Pacific"Atmospheric Environment. 36. 6051-6057 (2002)
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[Publications] K.Kawamura: "Four year observation of terrestrial lipid class compounds in marine aerosols from the western North Pacific"Global Biogeochemical Cycles. 17,No.1. 1003,doi:10.1029/2001/GB001810 (2003)
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[Publications] 秋元肇, 河村公隆その他2名: "対流圏大気の化学と地球環境"学会出版センター. 223 (2002)