2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポストゲノム科学的アプローチによる脊椎動物の排卵研究
Project/Area Number |
14204079
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 孝行 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80197152)
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Keywords | 排卵 / 卵巣 / メダカ / マウス / 排卵酸素 / マトリックスメタロプロテアーゼ / MT2-MMP |
Research Abstract |
本研究の目的は、メダカ及びマウスを用いて、脊椎動物における排卵機構を解明することである。 (1)メダカ卵巣を用いた研究では、メダカ卵巣 MT2-MMP が排卵実行酵素であることを明らかするため、MT2-MMP mRNAの発現動態についてin situハイブリダイゼーション解析により調べた。その結果、MT2-MMP mRNAは排卵時に濾胞組織の顆粒膜細胞に発現し始めることが明らかになった。大(直径が1.0mm以上)、中(直径が0.5〜1.0mm)、小(直径が0.5mm以下)のサイズのくり抜き濾胞由来のRNAでは、ノーザン解析によるmRNA検出は不可能であった。一方、メダカ卵巣のくり抜き濾胞による試験管内排卵実験系において、組織あるいは組織培養液にMT2-MMPが検出されるかどうかについて検討した。作製済みのMT2-MMP抗体を用いたウェスタンブロット解析とSDS-PAGE/gelatin zymography 解析により、膜結合の活性型MT2-MMPの存在を実証できた。MT2-MMPタンパク質の出現は排卵時から認められ、mRNAの消長と同じであった。 (2)マウス卵巣を用いた研究では、メダカの排卵酵素の候補として浮上してきたMT2-MMPが、哺乳類においても排卵実行MMPとなりうるかどうかについて検討するために、成熟マウスの各種組織におけるMT2-MMP発現をノーザンブロット解析により調べたところ、肺、心臓、肝臓及び卵巣に発現していることが確かめられた。マウスMT2-MMP cDNAの断片(215bp)に対応するcRNAをプローブとして、成熟マウスの卵巣切片でin situハイブリダイゼーション解析を行ったところ、顆粒膜細胞が発現細胞であることが判明した。さらにPMSGおよびhCG処理により過排卵を誘導した幼若雌マウス(4週齢)の卵巣で、hCG処理がMT2-MMPの発現を誘導することをノーザンブロット解析で明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ogiwara, K.: "Molecular Cloning and Partial Characterization of Medaka Fish Stromelysin-3 and Its Restricted Expression in the Oocytes of Small Growing Follicles of the Ovary"Mol. Reprod. Develop.. 61. 21-31 (2002)
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[Publications] Kimura, A.: "Expression and Localization of Prolyl Oligopeptidase in Mouse Testis and Its Possible Involvement in Sperm Motility"Zool. Sci.. 19. 93-102 (2002)
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[Publications] Matsui, H.: "The Presence of Angiotensin-converting Enzyme in Follicular Fluids of Porcine Ovaries and Its Possible Involvement in Intrafollicular Breakdown of Bradykinin"Mol. Reprod. Develop.. 62. 99-105 (2002)
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[Publications] Yokoi, T.: "Developmental Changes and Localization of Mouse Brain Serine Proteinase mRNA and Protein in Mouse Brain"Neurosci. Lett.. 323. 133-136 (2002)