2003 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面を利用した分子認識機構の解明とバイオエレクトロニクスへの応用
Project/Area Number |
14205007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
庭野 道夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20134075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 康男 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (40312673)
石井 久夫 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (60232237)
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Keywords | 半導体表面 / 赤外分光法 / 分子認識 / DNAチップ / 脂質分子 / バイオエレクトロニクス / 生体機能 |
Research Abstract |
細胞の多種多様な機能の多くは細胞膜の働きに寄るところ大である。細胞膜は脂質分子膜によって成り立っているが、この膜が複雑な構造を持ち、生体分子との協同的な相互作用によって、多種多様な機能を生み出す。したがって、この細胞膜の機能を半導体表面上に移植できれば、分子認識をはじめとする高度な機能を人工的に実現できる。そこで、本研究では、半導体表面上に構造制御された脂質分子膜を形成し、それに吸着する生体分子や高分子の吸着状態を赤外分光法で検知することにより、分子認識機能を持たせることが最終目標である。 本年度は、前年度に引き続き、Si表面上に1本鎖と2本鎖のDNAを付着させ、自作の赤外分光装置でDNAハイブリッド形成を確かめた。DNAの付着には、まず酸化膜で覆われたSi表面に脂質分子膜を吸着させ、リンカー分子をその上に吸着させた上でさらにその上に10ないし20塩基長の一本鎖DNA分子を吸着させた。溶液中で表面に吸着した1本鎖DNAとハイブリダイゼーション後のDNAの赤外吸収スペクトルを比較した結果、両者に顕著な差異が認められ、赤外吸収スペクトルの測定によりDNAのハイブリダイゼーションを検知できることが確かめられた。さらなる高感度化のために、Si表面に正の電極電圧を印加して、DNA分子をSi表面上に引き寄せる方法を検討した。その結果、DNA分子は効率よくSi表面上に引き寄せられ、吸収強度も桁違いに増強することが確かめられた。このとき引き寄せられたDNA分子は、浮遊状態の場合と異なる赤外吸収スペクトルを示した。これは、DNA分子間の相互作用が影響を及ぼしていることを示唆している。また、Si表面に負の電極電圧を印加した場合にはDNA分子が表面から引き離されことが確かめられ、溶液中でDNA分子を容易に操作できることが分かった。現在、赤外吸収分光に基づいたDNAチップの開発研究を継続中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 庭野道夫: "半導体表面における水素の挙動-赤外分光解析-"Journal of Vacuum Society of Japan (真空). 46・8. 600-606 (2003)
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[Publications] Satoshi Ogawa: "Carrier injection characteristics in Organic Field Effect Transistors Studied by Displacement Current Measurement"Japanese Journal of Applied Physics. 42. L1275-L1273 (2003)
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[Publications] Masanori Shinohara et al.: "Behavior of hydride species on Si surface during methane plasma irradiation investigated by in-situ infrared spectroscopy"Thin Solid Films. 435. 13-18 (2003)
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[Publications] Masanori Shinohara et al.: "Interaction of hydrogen-terminated Si(100), (110), and (111) surfaces with hydrogen plasma investigated by in situ real-time infrared absorption spectroscopy"Journal of Vacuum Science & Technology A. 21・1. 25-31 (2003)
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[Publications] 渡辺隼人: "Si(100)表面上のベンゼン分子吸着過程"表面科学. 24・2. 98-104 (2003)
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[Publications] 木村康男: "多重内部反射型赤外吸収分光法によるシリコン表面の電気化学エッチング過程の"その場"観察"表面科学. 25・2. 82 (2004)