2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14205013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 克昌 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80362664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山田 正人 京都府立医科大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30183255)
井上 康志 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教授 (60294047)
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Keywords | 非線形光学効果 / レーザー顕微鏡 / 第2高調波発生 / コヒーレントアンチストークスラマン散乱 / HeLa細胞 / 心筋細胞 / 振動分光 / 超短パルスレーザー |
Research Abstract |
本研究では、細胞を構成する生体分子と光との非線形相互作用を利用した計測制御技術の開発を行った。近赤外超短パルスレーザーを生体試料内に入射させると第2高調波発生(SHG)やコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)等の非線形な光散乱を生体内で誘起でき、その波長や強度から細胞内の分子種の判別やタンパク質の配列構造を得ることができる。実際に超短パルスレーザーを光源としたSHG顕微鏡およびCARS顕微鏡を試作し、生きた細胞の観察を行った。SHG顕微鏡では、ラット培養心筋細胞内のミオシンからの特異的な第2高調波の発生を確認し、染色等の前処理を行うことなくミオシンの分布を示す顕微画像を得ることに成功した。また、HeLa細胞(ヒト子宮頸癌細胞)からは、細胞分裂時に限り微小管から強い第2高調波が得られることが分かった。これは、細胞分裂時に形成される高密度のチューブリンが強い異方性を示し、高い効率で第2高調波が発生するためだと考えられる。また、CARS顕微鏡の試作を行い、HeLa細胞の分光観察を行った。試料に入射させるレーザー光の振動数の差を脂質分子の伸縮振動の振動数に一致させ、HeLa細胞内の脂質分子の分布を得た。ラット培養心筋細胞をSHGおよびCARSを用いて行い、ミオシンおよび脂質分子の分布を得た。これらの結果から、非線形光学効果を利用すれば、これまで行われてきた蛍光染色法を用いなくても、生体分子を直接検出し、生体試料の顕微観察に応用できることが示された。
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Research Products
(4 results)