2002 Fiscal Year Annual Research Report
スピン注入トランジスタと量子ドットを集積した半導体スピンデバイスの作製
Project/Area Number |
14205042
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 好仁 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80250489)
末岡 和久 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60250479)
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Keywords | スピン / 強磁性体 / スピン軌道相互作用 / 狭ギャップ半導体 / 分子線エピタキシー / スピン注入 / ラシュバ振動 |
Research Abstract |
今年度は、スピン偏極した電子を強磁性体(鉄)薄膜から半導体(インジウム砒素)へ注入に関し次の結果を得た。 (1)鉄薄膜に対し垂直方向に磁化した状態でスピン偏極した電子を強磁性体(鉄)薄膜から半導体(インジウム砒素)へ注入することを試みた。順方何バイアスにおいて試料上面から、注入電子とp型基板中のホールとの再結合によるエレクトロルミネッセンスの偏光度を観測した。外部磁場の極性に依存した左右の円偏光が観測された。これより偏極率を見積もると5テネラ付近で約12%のピーク値を示し徐々に減少していくことがわかった。また、円偏光の向きから、注入されているのは、多数スピンであることが判明した。本研究成果の速報については、応用物理学会の欧文誌のExpress Lettersで発表した。 (2)半導体基板の磁場に対する影響を確認するため、非磁性薄膜(AI)に対し外部垂直磁場のもとで同様のエレクトロルミネッセンスの偏光度を観測した。その結果、外部磁場に対し強磁性体からの注入のときと逆方向の偏極率を示す結果となった。これは、大きな負の(ランデの)g因子を持つインジウム砒素のバンド構造から予想されるゼーマン効果によって説明できる。これらの背景を考慮すると、強磁性体からインジウム砒素へのスピン注入効率はさらに高い値と見積もられる。 (3)さらに基板の影響を詳しく調べるため、金属で覆わないインジウム砒素試料表面にレーザー励起光を照射し、フォトルミネッセンスの偏光特性を調べた。その結果、非磁性薄膜(AI)に対し得られたのと同様の偏極率を示す結果となった。これらを考慮して発光の偏極率を見積もると約18%のピーク値を示すことになりる。バンド間遷移か自由電子アクセプタ間遷移かによって実際のスピン注入効率は45%から90%まで変わってくる。今後、バンドパスフィルターを使ってさらに詳しく注入効率の同定をする予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Katano, T.Doi, H.Ohno, K.Yoh: "Surface potential analysis on doping superlattice by electrostatic force microscope"Appl. Surf. Sci. 188. 399-402 (2002)
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[Publications] Hiroshi Ohno, Kanji Yoh, T.Doi, Agus Spagyo, K.Sueoka, K.Mukasa: "Spin injection with Fe/InAs hybrid structures"Int. Phys. Conf. Ser. (IOP). 170. 275-280 (2002)
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[Publications] H.Ohno, K.Ych, k.Sueoka, k.Mukasa, M.E.Ramsteiner: "Spin-Polarized Electron Injection through an Fe/InAs Junction"Jpn. J. Appl. Phys. (Express Letter). Vol.42 Part.2. L1-L3 (2003)
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[Publications] Kanji Yoh, Hiroshi Ohno, Y.Katano, K.Mukasa: "Spin Injection from a Ferromagnetic Electrode into InAs Surface Inversion Layer"Journal of Crystal Growth. 251. 317-341 (2003)
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[Publications] K.Yoh, H.Ohno, Y.katano, K.Sueoka, K.Mukasa: "Direct spin injection from a ferromagnetic metal into a semiconductor"International Symposium on Mesoscopic Superconductivity and Spintronics 2002 (World Scientific Publishing). (印刷中). (2003)