Research Abstract |
1.平成15年度は,中海から大橋川へ流入する塩分量や,流入する塩水の水質を定量的に見積もるため,中海における塩分界面の現地観測に基づく数値解析モデルを構築し,その適合性を検討した.また,中海から宍道湖に流入する塩分フラックスの変化による湖内の塩分変化機構を検討するため,宍道湖流入部のマウンド上を通過する塩分フラックスを測定し,更に,宍道湖内の数箇所で塩分濃度を実測した. 2.中海の現地観測としては,中海の東西方向観測ラインに沿って船を走らせ,多項目水質計(STD)で水温と塩分の鉛直分布を測定した.同時に,ADCPを用いて流向・流速分布を測定し,流動・水質の時間変化を観測した. 3.σ座標系を用いた鉛直二次元運動方程式,連続方程式と塩分の移流拡散方程式を用い,流動と密度界面の挙動を説明するモデルを構築し,1.の中海現地観測データと比較した. 4.風速8m/s以上の西風が吹くと,中海における東西方向の密度境界面の傾斜が強くなり,大橋川河口では,界面位置がマウンドより高くなることがあることを解析モデルは示した.この解析結果は,観測結果とよく対応し,このとき,中海の貧酸素性下層水は,マウンドを越え大橋川に侵入し,更に,宍道湖へ流入する. 5.宍道湖の上層の塩分濃度は,強風時に湖内の下層水と上層水が混合する際,急激な増加が見られる.また,強い東風が,長時間卓越すると,下層が東側へ移動し,そのままマウンドを越えて大橋川に流出することが確認された.
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