2003 Fiscal Year Annual Research Report
鋼構造高層建築物のロバスト性に関する性能マトリックスの研究
Project/Area Number |
14205079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑村 仁 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20234635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 雄一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90312975)
伊山 潤 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (30282495)
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Keywords | 鋼構造 / 高層建築 / 性能設計 / ロバスト性 / 安全性 / 機能性 / 修復性 / 経済性 |
Research Abstract |
この研究の目的は、建築物の使用者と設計者が建物の性能に対する理解を共有し、コストと性能がバランスした建築設計を行う技術を確立することである。使用者と設計者のインターフェイスとなるのは性能マトリックスと称するものであり、その行と列はそれぞれ性能レベルと荷重レベルで構成されている。この研究が、特に主眼を置いているのは、性能レベルの分類と性能評価方法・判定方法を鋼構造高層建築物について提案することである。昨年度の研究により、性能レベルを機能維持、無損傷、修復可能、人命保護の4レベルに分類することを提案し、その合理性を諸外国の動向とわが国固有の状況から検討した。この4レベルの性能によって鋼構造高層建築物のロバスト性(頑丈さ)を定量的に評価できる見通しがたった。今後の課題は、各性能レベルの性能評価方法を実験と解析に基づいて明らかにしていくことであり、最終的に評価式として導くことである。 今年度は特に使用者の関心が高い地震荷重を対象として次の研究実績が得られた。 (1)構造躯体の性能評価について ・地震時の繰返し載荷による鋼構造部材の履歴性能について既往の実験データを収集整理した。 ・研究データの乏しい破断について新たに実験を行い、地震履歴と破断性能との関係を得た。 ・上記に基づき性能の評価式を導くための基礎検討を行った。 (2)非構造部材、建築設備、および収容物の性能評価について ・昨年度収集整理した兵庫県南部地震被害データを4つの性能レベルに分類した。 ・上記に基づき性能の評価式を導くための基礎検討を行った。 (3)地震入力について ・昨年度完成した模擬地震動作成プログラムを用いて建物の応答解析を行った。 ・直下型から海洋型の地震に応じた修復限界に関わる入力の評価式を導いた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 岩田善裕, 桑村 仁: "鋼構造建築物の耐震性能評価における入力地震動の研究(その5 実地震動と模擬地震動における減衰効果の比較)"日本建築学会大会学術講演梗概集. 22397. 793-794 (2003)
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[Publications] 宮澤秀明, 岩田善裕, 桑村 仁: "鋼構造建築物の耐震性能評価における入力地震動の研究(その6 実地震動と模擬地震動に対する完全弾塑性系の応答比較)"日本建築学会大会学術講演梗概集. 22398. 795-796 (2003)
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[Publications] Kuwamura, H., Iyama, J., Matsui, K.: "Effects of Material Toughness and Plate Thickness on Brittle Fracture of Steel Members"Journal of Structural Engineering, ASCE. 129(11). 1475-1483 (2003)
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[Publications] 稲葉雄一郎, 桑村 仁: "建築構造用鋼材の延性亀裂発生条件に及ぼす溶接の影響"日本建築学会大会学術講演梗概集. 22270. 539-540 (2003)
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[Publications] 桂 大輔, 宮澤秀明, 桑村 仁: "繰返し載荷による鋼材の延性破断(その1.実験概要)"日本建築学会関東支部研究報告集. I (2004). 107-110 (2004)
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[Publications] 宮澤秀明, 桂 大輔, 桑村 仁: "繰返し載荷による鋼材の延性破断(その2.一定振幅載荷)"日本建築学会関東支部研究報告集. I (2005). 111-114 (2004)
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[Publications] 宮澤秀明, 桂 大輔, 桑村 仁: "繰返し載荷による鋼材の延性破断(その3.変動振幅載荷)"日本建築学会関東支部研究報告集. I (2006). 115-118 (2004)
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[Publications] 桑村 仁 他: "鋼構造の性能設計を考える-耐震・変形限界を中心として-"日本建築学会. 90 (2003)