2004 Fiscal Year Annual Research Report
金属化合物の電子密度分布からみた化学結合の成り立ちと凝集機構の新しい表現
Project/Area Number |
14205091
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 純教 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10144213)
湯川 宏 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50293676)
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Keywords | 化学結合 / 電子状態 / 分子軌道法 / 電子密度 / 軽元素 / イオン結合 / 共有結合 / 金属結合 |
Research Abstract |
本研究では、電子密度分布の規則性や特徴を見出し、従来とは異なる化学結合の成り立ちについて調べ、原子間の凝集メカニズムの簡明な表現法を開拓することを目的としている。 昨年度、DV-Xα分子軌道計算法を用いて、物質の最小電子密度(ρ_<min>)と原子半径またはイオン半径(r_<min>)の間に成り立つ次の関係式を見出した。 log(ρ_<min>/Z^3)=-5.29 log [1.01+0.57・(Z/n)r_<min>] ここで、Zは原子番号、nは主量子数である。本年度は、この関係の普遍性を金属酸化物と水素化物に絞って調べ、以下の結果を得た。 (1)51種の水素-金属2原子分子および15種の錯体水素化物の電子密度分布を計算し、上記関係式が成立していることを確認した。また、凝集エネルギーと電子密度との間の関係を調べ、現在よく使われているマリケン(Mulliken)のpopulation analysisに替わる化学結合の定量的な解析法を検討した。 (2)金属酸化物を系統的に計算し、上記関係式を確認するとともに、電子密度分布に現れる特徴を整理した。酸素の近傍の電子密度勾配は、酸化物に依らず一定で、電子の空間的な拡がり、すなわち酸素の勢力範囲を示すイオン半径(r_<min>)のみが異なり、結果として最小電子密度(ρ_<min>)が変わる。例えば、酸素-金属イオン間の共有結合性が高いほど、イオン半径(r_<min>)は小さくなり、最小電子密度(ρ_<min>)は大きくなる。 このように、電子密度分布の中に、原子間の凝集の様子が現れている。上記のユニバーサル関係式は、原子間の凝集メカニズムについての一つの簡明な表現である。
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Research Products
(4 results)