2004 Fiscal Year Annual Research Report
Ti-Ni形状記憶合金スパッタ薄膜を用いた強力大変位マイクロアクチュエータの作製
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14205099
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮崎 修一 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (50133038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 熙榮 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (20333841)
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Keywords | Ti-Ni / 形状記憶合金 / マイクロアクチュエータ / スパッタ薄膜 / マルテンサイト変態 / Ni-Ti / 微細加工 |
Research Abstract |
Ti-Ni形状記憶合金薄膜を用いて、微細加工法によりマイクロアクチュエータを作製した。微細加工法の概略はまず、SiO_2酸化膜を両面に持つSi基板を用いて、Ti-Niを片側のSiO_2膜上に成膜する。次に、Ti-Ni薄膜を記憶処理した後、反対側のSiO_2膜に、フォトレジスト法により作製したマスクパターンを用いて正方形の穴をエッチング加工する。その後、上側のSiO_2膜に達するまで、Siに異方性エッチング加工を施す。 形状記憶合金の相変態は無拡散で起こる一次のマルテンサイト変態であるため、アクチュエータの動きには温度ヒステリシスがある。冷却-過熱中のアクチュエータの中心部の動きを温度の関数で整理すると、Ti-Ni二元合金の結果は、冷却過程では340K付近からアクチュエータは上昇し始め、室温では十分な高さになっている。過熱をすると、330K付近から下降し始め、360K付近で完全に平坦になる。温度ヒステリシスは約30Kである。変態温度がアクチュエータの常用温度の室温(293K)よりも約50K高いため、自然冷却効果が期待でき、数十Hzで動くことが観察できた。一方、変態温度の高いTi-Ni-Pd薄膜を用いたアクチュエータは、さらに高温側で駆動する。変態温度がTi-Niより80K高く、効率の良い冷却効果が実現するため、Ti-Ni二元合金より高い100Hz近い応答性が実現できた。 次に、Ti-Ni合金では1-2Kと小さい変態温度ヒステリシスを示すため、高い応答性が期待され、作製したアクチュエータでは100Hzを超えても1Hzの時と同様の駆動量を示した。R相変態の欠点は、変位量が小さいこてであるが、Ti-Ni-Cu合金薄膜のマルテンサイト変態の温度ヒステリシスは10Kと小さいため、駆動量が大きく、応答性も100Hzと高いアクチュエータの作製が可能になった。Ti-NiのR相変態、Ti-Ni-PdとTi-Ni-Cuのマルテンサイト変態により、100Hzでも十分な変位が現れ、形状記憶合金薄膜に期待されていた応答性がクリアされた。
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Research Products
(6 results)