2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14205100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幾原 雄一 東京大学, 工学部附属総合試験所, 教授 (70192474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 剛久 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20220478)
岩本 知広 東京大学, 工学部附属総合試験所, 助手 (60311635)
松永 克志 東京大学, 工学部附属総合試験所, 助手 (20334310)
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Keywords | 粒界性格 / バイクリスタル / トリクリスタル / セラミックス / 高分解能電子顕微鏡 / ドーパント / 粒界すべり / 粒界偏析 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度作製したアルミナの<0001>傾角粒界およびジルコニアの<110>傾角粒界を有するバイクリスタルを用いて、粒界原子構造と粒界すべり特性との相関性、粒界における不純物偏析効果について主に調べた。以下に本年度得られた結果を要約する。 (1)小角粒界は、完全転位ではなく分解した2つの部分転位と積層欠陥から形成された転位列によって構成されていることが分かった。その分解距離は転位間に働く弾性反発力と積層欠陥領域を縮めようとする引力とのバランスによって決定されることを明らかにし、これらの小傾角粒界においては部分転位に分解して存在する方がエネルギー的に有利であることを実証した。 (2)全ての粒界は幾何学的には対称傾角粒界であるが、粒界方向に並進成分を持つため原子レベルでは非対称な構造を有していることが分かった。また、大部の粒界が比較的大きな原子空隙をその構造中に含んでいること、粒界構造はΣ値よりもむしろ粒界面に強く依存していることなどについても明らかにした。さらに、粒界エネルギーは粒界性格と相関性があることを実験的に明らかにした。 (3)各粒界の原子構造に注目することにより、粒界極近傍の原子密度とすべり速度との間に相関性が見られ、粒界を形成する原子密度が小さいほどクリープ変形が起こりやすいことが明らかとなった。 (4)不純物を偏析させたアルミナバイクリスタルを作製し、HRTEM観察と圧縮クリープ試験を行った結果、Yの偏析によって粒界原子構造は変化しないが、その粒界すべり挙動は無添加粒界と比較して大きく抑制されていることが分かった。また、格子静力学計算によるとYは粒界の原子スペース近傍に偏析することが明らかとなり、偏析によって粒界構造変化が起こらないことが理論的にも示唆された。Ti添加粒界は無添加の場合と比べてかなりクリープ変形速度が大きくなったことから、Tiが粒界に偏析し粒界すべりを促進していることものと予想される.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Katsuyuki Matsunaga 他: "High-resolution electron microscopy and computational analyses on atomic structures of [0001] symmetric tilt grain boundaries of Al2O3 with equivalent grain boundary planes"Philosophical Magazine. 83. 4071-4082 (2003)
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[Publications] Naoya Shibata 他: "Grain-boundary faceting at a Σ=3, [110]/{112} grain boundary in a cubic zirconia bicrystal"Philosophical Magazine. 83. 2221-2246 (2003)
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[Publications] 西村仁志 他: "アルミナ双結晶の粒界構造と高温変形挙動"日本セラミックス協会学術論文誌. 111. 688-691 (2003)
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[Publications] Yuichi Ikuhara 他: "Dislocation Structures of Low-Angle and Near-Σ3 Grain Boundaries in Alumina Bicrystals"Journal of the American Ceramic Society. 86・4. 595-602 (2003)
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[Publications] Hitoshi Nishimura 他: "Atomic Structures and Energies of Σ7 Symmetrical Tilt Grain Boundaries in Alumina Bicrystals"Journal of the American Ceramic Society. 86・4. 574-580 (2003)
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[Publications] Katsuyuki Matsunaga 他: "Direct measurements of grain boundary sliding in yttrium-doped alumina bicrystals"Applied Physics Letters. 82・8. 1179-1181 (2003)