2005 Fiscal Year Annual Research Report
導波モード・表面プラズモン共鳴励起による有機超薄膜の高感度時間分割蛍光測定と応用
Project/Area Number |
14205122
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長村 利彦 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90117200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敬二 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (20325509)
伊藤 冬樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80403921)
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Keywords | ナノ材料 / 蛍光寿命 / 表面プラズモン共鳴 / 高分子物性 |
Research Abstract |
デバイスの高度集積化に伴い高分子超薄膜への期待が高まっている。膜厚が分子鎖の拡がり程度以下になると、その物性はバルク試料の物性とは著しく異なることが明らかとされつつある。超薄状態における分子鎖熱運動性を時間、空間および温度の関数として評価できれば、特異な分子運動性の本質的な理解へとつながる。本研究では、高分子超薄膜からの蛍光を高感度に計測する方法として導波モード(GWM)励起蛍光寿命測定を提案し、超薄状態における分子鎖熱運動性について検討した。またエバネセント光を励起光として用いることにより、合成高分子/異種固体界面近傍における分子鎖熱運動性評価を時間-空間分割蛍光測定により検討した。 GWM励起蛍光測定に用いる薄膜は色素分散高分子(クマリンを分散させたアートン)/ポリビニルアルコール(PVA)/銀の3層系から構成される。平均蛍光寿命のアートン膜厚依存性を測定したところ蛍光寿命は100nm以上の範囲で一定であったが、100nm程度以下になると、膜厚の減少とともに増加した。PVAとアートンとの水素結合によって、界面近傍では分子運動が抑制され、表面近傍の分子運動の活性化よりも顕著であると考えられる。 また界面近傍の熱物性は、エバネセント光を励起光として単分散ポリスチレンに6-(N-(7-nitrobenz-2-oxa-1,3-diazol-4-yl)amino)-hexanoic acid(NBD)をアミノ結合でラベルしたPS-NBDキャスト膜を用い、バルクおよび界面近傍における蛍光寿命τの温度依存性から検討した。バルク測定において、τは温度上昇に伴い短くなり、340K付近でその勾配は変化した。一方界面近傍においてもτは温度上昇とともに減少したが、その傾きは365K程度で変化した。傾きの変化はプローブ分子を取り巻く動的な環境が変化することを示唆している。それゆえに、界面近傍の熱運動性は膜内部と比較して抑制されていると結論した。
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