2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14205142
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
山上 隆正 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・大気球観測センター, 教授 (40013718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 芳隆 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・大気球観測センター, 助教授 (50300702)
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Keywords | 科学観測用気球 / 高高度気球 / 気球材料 / メタロセン触媒 / ポリエチレンフィルム / 気球製作方法 / 圧力気球 / 大型気球の開発 |
Research Abstract |
平成15年度は、成膜装置のエアーリングをより詳細に冷却制御できるように改良を加えた結果、従来の超薄膜フィルムに比べて、厚みで12%薄い3.0μm、折径で38%広い110cmのフィルムの開発に成功した。開発したフィルムの機械的性能を調べた結果、常温で破壊強度が250kg/cm2・伸びが600%であり、-80℃で破壊強率が380kg/cm2、伸びが150%で気球環境下で十分使用できるフィルムであることがわかった。このフィルムを用い容積5千立方米の気球を製作し、2003年9月18日に三陸大気球観測所より飛翔性能試験を行った。気球は正常に上昇し予定高度47.1kmに達した。この研究により、将来高度60kmまで上昇する超薄膜型高高度気球の足がかりを得た。また、大型観測器を成層圏まで飛翔させるために開発を行っている膜厚20μm、折径140cmのフィルムを開発し、容積50万立方米の気球を製作することに成功した。この気球に325kgの観測器を搭載して、2003年9月3日に放球した。気球は正常に上昇し、高度43kmで水平浮遊状態に入った。この容積の気球は、これまでに日本で放球した最大のものであった。この成功により、将来の気球の大型化への道を開くことができた。また、気球を長時間飛翔させるためにはバラストを搭載する必要がないスーパープレッシャー型気球が必要となる。今年度は強度に優れしかも軽い皮膜(エバール、ナイロン、ポリエチレンを積層)で厚さ25μmのもの開発し、昨年度開発製作した自走式ラップシーラーを用いて、直径3mのパンプキン気球を開発し地上試験を行った。その結果、7kPaの圧力に耐える気球の開発に成功した。今後、気球容積の増大を計り、地上試験を行い高度30km以上を飛翔できる圧力気球の研究開発を行う所存である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山上隆正, 斉藤芳隆, 他10名: "3μm厚フィルムを用いた超薄膜型高高度気球の開発"大気球シンポジウム報告(平成15年度)(宇宙科学研究本部). 47-50 (2003)
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[Publications] 山上隆正, 斉藤芳隆, 他12名: "B500気球の飛翔"大気球シンポジウム報告(平成15年度)(宇宙科学研究本部). 27-30 (2003)
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[Publications] 斎藤芳隆, 山上隆正, 他6名: "錘を用いた薄膜高高度気球破壊装置の開発"大気球シンポジウム(平成15年度)(宇宙科学研究本部). 31-34 (2003)
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[Publications] Y.Saito, T.Yamagami, et al.: "Development of a Thinner Film for Scientific Balloons"AIAA's 3rd Aviation technology, Integration, and Operations. (in press). (2004)
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[Publications] 松坂幸彦, 山上隆正: "高度30-60kmを浮遊する高高度気球の現状"南極昭和基地大型大気レーダー(PANSY)研究小集会. (印刷中). (2004)