2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14205146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能勢 義昭 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10114604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 政生 早稲田大学, 理工学部・電子・情報通信学科, 教授 (30170781)
浅田 昭 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60323648)
浦 環 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60111564)
赤松 友成 (独)水産総合研究センター, 水産工学研究所, 主任研究官
小島 淳一 (株)KDDI研究所, 海洋エンジニアリンググループ, プロジェクトリーダー(研究職)
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Keywords | 鯨類観測 / マッコウクジラ / ザトウクジラ / 自律型海中ロボット / クリック / 鳴音 / 音響解析 / 個体識別 |
Research Abstract |
鯨類の観測は船舶を用いた計量を主とするが、近年では、小型無線機やARGOS衛星を利用した調査、あるいは小型化が進むデータローガーを鯨類に直接装着する方法による調査もおこなわれるようになってきた。無線等の場合には海面に浮上している状態の鯨類の観測は可能である。データローガーの場合には海面および海中での調査が可能だが、鯨類に直接装着する必要があり回収率が低いなどの難点がある。つまり、いまだに、広い海域の海中を高速で移動する大型鯨類の水中観測は困難を極めている。そこで本研究では、高速潜航性能に優れ雑音の少ない自律型海中ロボット(AUV)を利用して、海中を移動する鯨類の体に触れることなく観測できる新しい移動観測プラットフォームの確立を目指す。2年目である本年度は、AUVを用いた観測の前段階として、マッコウクジラのクリックを利用して、クリックが聞こえてくる方向をリアルタイムで探知するシステムを構築した。これは、4個のハイドロフォンアレーから成る小型SBLシステム2組を作成し小型船2隻に搭載、マッコウクジラの深度情報(頭数識別)と航跡を演算計算により求めていくもので、船上のSBL処理部には高速信号処理装置FPGAを組み込み、リアルタイム性を追求している。8月、小笠原海域において、本装置を用いてマッコウクジラの観測試験をおこなった。収集したデータの解により、数頭のマッコウクジラの深度情報、航跡図が得られている。最終年度となる来年度は、JAMSTECの船「かいれい」を利用した研究として「小笠原海域でのAUVを用いたマッコウクジラの追跡実験」を応募し、実績が評価されて採択。2004年9月にAUVを用いてマッコウクジラの追跡試験をおこなうことが決まっており、現在、クリック解析ソフトのアルゴリズム等を検討している。また、マッコウクジラとならぶ大型鯨類の代表格であるザトウクジラについても鳴音解析による個体識別の研究を進めている。既存の音響データに加えて今年4月には小笠原海域において2チャンネルハイドロフォンを利用して新たな音響データを取得、これらを解析し個体識別のための鳴音モデルを開発。これを最新のデータサンプルでテストした結果、85%以上の確率で同一個体の識別が可能となった。経年変化への対応は今後の課題であるが、本システムをAUVに搭載しザトウクジラの群れが棲息する海域の観測を継続的におこなうことで、鯨類観測に新たな知見を拓くものと考える。なお、マッコウクジラ、ザトウクジラそれぞれの研究に関する最新成果について、9月のOceans'03国際学会および12月の国際海棲ほ乳類学会において発表をおこなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 浦環: "自律型海中ロボットによるザトウクジラの音響トラッキング-慶良間諸島沖での試験と将来構想-"超音波TECHNO. Vol.15,No.3. 45-48 (2003)
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[Publications] Bahl Rajendar, 浦環: "Automatic Real-time Segregation and Classification of Multiple Vocalizing Sperm Whales"生産研究. Vol.55,No.3. 297-300 (2003)
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[Publications] 欒剣, Rajendar Bahl, 浦環, 赤松友成, 山口真名美, 坂巻隆, 森恭一: "Model - based Recognitions of Individual Humpback Whales From Their Vocalization Features"海洋工学シンポジウム講演集. 443-448 (2003)
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[Publications] Bahl Rajendar, 浦環, 福地鉄雄: "Techniques for Segregation and Classification of Several Vocalizing Sperm Whales"Proc. Oceans'03, San Diego, USA. 457-463 (2003)
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[Publications] Bahl Rajendar, 浦環, 浦純也, 能勢義昭, 福地鐵雄, 小島淳一, 森恭一, 坂田雅雄, 杉松治美, 清水友樹, 柳澤政生: "Real -Time Classification and Tracking of Speam Whales in a Multi-Whales Scenario"Abstracts of 15th Biennial Conference on the Biology of Marine Mammals, Greensboro, USA. 134 (2003)
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[Publications] 欒剣, Rajendar Bahl, 浦環, 赤松友成, 山口真名美, 坂巻隆, 森恭一: "Results on Recognition of Individual Humpback Whales based on Vocalization Models"Abstracts of 15th Biennial Conference on the Biology of Marine Mammals, Greensboro, USA. 98 (2003)