2002 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド方式による有機塩素系化合物汚染土壌の原位置浄化
Project/Area Number |
14205150
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千田 佶 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10005499)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 孝一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90291252)
新堀 雄一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90180562)
井上 千弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30271878)
|
Keywords | 原位置処理 / ハイブリッド式 / 有機塩素化合物 / 鉄粉 / 微生物 / レメディエーション / 土壌汚染 |
Research Abstract |
有機塩素系化合物により汚染された土壌・地下水の問題が深刻になる状況の中で、これら汚染土壌・地下水を低コストかつ安全に原位置処理する技術の確立が求められている。本研究では有機塩素系化合物の代表物質として主にトリクロロエチレン(TCE)を用い、これらの化合物で汚染された土壌に鉄粉を混合した際の鉄粉および微生物による分解反応をそれぞれ定量的に評価し〜各々の反応の最適条件を見い出すとともに、両者を組み合わせたハイブリッド方式により、汚染土壌の原位置処理に有効な手法を確立することを目的とする。 本年度においては、実際にTCEで汚染された土壌に対しDIM工法により鉄粉を注入したサイトにおけるTCEの挙動を検討するとともに、同サイトからTCE分解微生物のスクリーニングを行った。DIM工法により汚染土壌と鉄粉を混合させることにより、土壌中の有機塩素系化合物は指数関数的に減少した。すなわち、混合した鉄粉の効果によりTCEが分解されたことになる。一方、その汚染土壌を用いて嫌気条件における微生物培養を行ったところ、数種の菌株がスクリーニングされた。これらの菌株のうち、数種は硫酸還元細菌であった。硫酸還元細菌の中にはTCE分解特性を示すものがあり、TCE分解微生物の種であることが認められた。 一方、ハイブリッド式原位置浄化を行うための基礎試験として、不飽和帯(土壌)中における気相TCEと鉄粉の関係について着目し、水蒸気存在下におけるTCEガスと鉄粉の吸着現象について検討を行った。その結果、水蒸気が存在することにより、TCEの鉄粉への吸着量は減少するものの、相対湿度80%以上になるとTCEの分解が起こることが確認された。さらに、TCEの鉄粉への吸着はラングミュア型であることが認められた。さらに、土壌中における微生物の挙動に関して、カラム試験を実施した。本試験では、モデル微生物として乳酸菌を使用し、カラム充填粒子としてケイ砂を使用した。その結果、微生物が増殖する過程においては、微生物はケイ砂によってトラップされ、その移動性が著しく抑制されることが分かった。このことはハイブリッド式原位置処理を行う上での大きな知見である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] D.Shimomura, et al.: "Behaviors of bacteria in porous materials under the growth condition"Proceedings of 2002 International Symposium on Subsurface Microbiology. 58 (2002)
-
[Publications] 上間裕彰: "水蒸気存在下での鉄粉へのTCE吸着"資源・素材学会 東北支部 平成14年度秋季大会講演要旨集. 15 (2002)
-
[Publications] 井上 千弘: "土壌浄化用鉄粉を利用したTCEとDCE類の分解"地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会 第8回 講演集. 321-322 (2002)
-
[Publications] 伊藤 裕行: "DIM(Direct Iron Mixing)工法によるTCE汚染土壌の分解事例"地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会 第8回 講演集. 399-400 (2002)
-
[Publications] 井上 千弘: "鉄粉による有機塩素化合物の分解と汚染修復への利用"資源・素材2002(熊本) 企画発表・一般発表(C)(D)資料. 89-92 (2002)
-
[Publications] 伊藤 裕行: "DIM工法による有機塩素汚染土壌の浄化"資源・素材2002(熊本) 企画発表・一般発表(C)(D)資料. 117-120 (2002)