2002 Fiscal Year Annual Research Report
イネ胚乳アミロペクチンの分枝構造の遺伝的変換に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14206003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 光 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70128031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊丸 敏博 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00284555)
竹田 靖史 鹿児島大学, 農学部, 教授 (40041644)
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Keywords | イネ / 胚乳デンプン / アミロペクチン / 枝作り酵素 / 胚乳特異的ホスホリラーゼ / 突然変異体 / 化学変異原 / 成分育種 |
Research Abstract |
1)ae変異体遺伝子の微細構造解析 EM72、EM129及びEM189は、BEIIb酵素はほぼ正常に発現するものの活性が1/10以下に低下したae遺伝子座のミッセンス変異体であり、活性の低下に比例してアミロペクチンDP18以下の短鎖が減少し、それに伴いデンプンの糊化特性が低下した。EM72ではG462D、EM129ではW396R及びEM189ではF593Iのアミノ酸変異が生じていた。従って、3変異体BEIIb酵素タンパク質の活性の低下は、これらのアミノ酸置換に起因すると推察される。 2)胚乳変異体デンプンのアミロペクチン分枝構造の解析 BEI変異体は全て野生型と同等の澱粉蓄積を示すが、糊化開始温度及び終了温度は有意に低下した。変異体アミロペクチンは、DP13-24とDP37以上の単位鎖の減少とDP25-36及びDP12以下の短鎖の増加を示した。このことから、BEIはB1及びB3鎖の形成に関与すると推察される。BEIタンパク質の減少に伴いBEIIbの増加が認められたことから、正常な澱粉蓄積量と糊化温度の低下は、BEIIbの相補的な作用によるものと推察される。 3)未同定の変異体の遺伝学的解析 BEIIa酵素活性減少変異体は、移動度の異なるBEIIaが認められること、BEIIaのcDNAをプローブとするサザン解析から、BEIIa構造遺伝子のミッセンス変異であると推察された。一方、胚乳特異的ホスホリラーゼ(SPH)活性を欠く変異体は、110kDSPHタンパク質を欠くこと及びSPH特異的プローブを用いたサザン解析から、SPH構造遺伝子の変異であると推察された。 4)MNU受精卵処理後代における新たな変異体の探索 水稲品種「金南風」のMNU受精卵処理後代(M2/M3)より、新に糊化特性やデンプン蓄積量、あるいは糊化特性を異にする変異体191系統を得た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Umemoto, M.Yano, H.Satoh, A.Shomura, Y.Nakamura: "Mapping of a gene responsible for the difference in amylopectin structure between japonica-type and indica-type rice varieties"Theoretical and Applied Genetics. 104. 1-8 (2002)
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[Publications] 佐藤 光: "変わりゆく遺伝資源 -イネを例として-"農林水産技術研究ジャーナル. 25. 43-46 (2002)
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[Publications] Kim-sum Wong, Akiko Kubo, Jay-lin Jane, Kyuya Harada, HikaruSatoh, Yasunori Nakamura: "Structures and properties of amylopectin and phytoglycogen in the endosperm from sugary-l mutants of rice"Journal of Cereal Science. 37. 139-149 (2003)
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[Publications] H.Satoh, A.Nishi, N.Fujita, A.Kubo, Y.Nakamura, T.Kawasaki, W.T.Okita: "Isolation and characterization of starch mutants in rice"J. Appl. Glycosci. 50(印刷中). (2003)
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[Publications] Y.Nakamura, N.Fujita, A.Kubo, S.Rahman, M.Morell, H.Satoh: "Engineering of amylopectin biosynthesis in rice endosperm"J. Appl. Glycosci. 50(印刷中). (2003)