2004 Fiscal Year Annual Research Report
アセチルコリンエステラーゼ薬剤感受性低下の分子機構解明とその成果利用に関する研究
Project/Area Number |
14206005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河野 義明 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (10225386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 隆史 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20180169)
塩月 孝博 (独)農業生物資源研究所, 発生分化研究グループ, チーム長
小林 淳 山口大学, 農学部, 教授 (70242930)
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Keywords | アセチルコリンエステラーゼ / 殺虫剤抵抗性 / 薬剤感受性低下 / アミノ酸置換 / 遺伝子発現 / 酸素精製 / コガタアカイエカ |
Research Abstract |
昨年に続き、キイロショウジョウバエAChE(Ace)とパラロガスなアセチルコリンエステラーゼ(AP-AChE)の薬剤感受性低下に関与するアミノ酸置換を探索した結果、新たにワタアブラムシで2箇所、ツマグロヨコバイで1箇所の置換を見付けた。いずれも、活性中心の重要なアミノ酸の置換であり、これまで知られていない2箇所が含まれる。次に、これまで見つかった6箇所のアミノ酸置換をコガタアカイエカAP-AChEにそれぞれ組み込んでバキュロウィルス-昆虫培養細胞系で発現した。それぞれの置換体の基質特異性及び薬剤感受性はこれまで2種のAChEの混合物として測定されていた感受性低下AChEの性質とほぼ一致することが明らかになった。このことは、同様に発現したAceオルソロガスなAChE(AO-AChE)の薬剤感受性が感受性AP-AChEと同等かやや高いことによって説明される。また、ヒトスジシマカの2種のAChEcDNAをクローニングし、それをもとに、発育ステージを追って2種のAChEの発現をリアルタイムPCRで調べた結果、AO-AChEの発現がAP-AChEに比べ非常に低いことも判明した。アタマジラミにおいても、AO-AChEの発現が低いことが明らかになっており、このような発現様相が2種のAChEを持つ昆虫に共通していると考えると上記の一致を説明するもう一つの理由となる。 AChEの精製はカイコのAChEで方法を検討し、アフィニティカラムを中心にした方法により高い精製度のものを得られることが確認された。この方法によって、コガタアカイエカのAChEも精製することが出来た。カイコにおいても2種のAChEcDNAのクローニングを行った。 今後、2種のAChEの存在場所、役割を追求する際の必要な条件が整ったと考えられる。
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Research Products
(2 results)