2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物のアルミニウム毒性に対する耐性分子機構の解明と耐性植物の作出
Project/Area Number |
14206008
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松本 英明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80026418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 洋子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50166831)
佐々木 孝行 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60362985)
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Keywords | 酸性土壌 / アルミニウムストレス / 毒性 / 耐性 / 分子機構 / 耐性遺伝子 / 耐性植物 / 形質転換体 |
Research Abstract |
コムギのアルミニウム(A1)耐性機構の一つに、根端からのリンゴ酸の放出がある。これまでに、準同質遺伝子系統のコムギ(ET8,ES8)を用いてA1耐性系統(ET8)からAl活性化型のリンゴ酸トランスポーターをコードする遺伝子(ALMT1-1)を単離した。ALMT1-1はET8やAtlas66(A1耐性品種)に共通する遺伝子型であり、一方ES8やScout66(A1感受性品種)に共通する遺伝子型としてALMT1-2を見出した。この2つの対立遺伝子には6塩基(アミノ酸で2残基)の相違が認められた。さらに、コムギにおけるALMT1-1遺伝子とA1耐性とが連鎖したことから、ALMT1-1遺伝子がA1耐性遺伝子(Alt1)であることが強く示唆された。 ALMT1の2つの対立遺伝子の機能に違いがあるかどうかを検討した。まず、アフリカツメガエル卵母細胞の遺伝子発現系および形質転換植物の系で検討した結果、ALMT1-2もAI活性型のリンゴ酸輸送活性を示したが、その輸送活性はALMT1-1よりもわずかに低いことが示唆された。一方、コムギ品種のChinese Spring (CS)は上述のAl耐性品種と感受性品種の中間のリンゴ酸放出活性を持ち中問のAl耐性を示すことが知られている。そこでCSにおいてALMT1遺伝子の遺伝子型と発現量を検討した結果、CSではALMT1-2遺伝子がA1感受性品種よりも高く発現していた。従って、ALMT1-2遺伝子を持つCSでは、遺伝子発現を高めることでリンゴ酸放出量を増やし、A1耐性を向上させていることが示唆された。 以上の結果から、コムギにおいてA1耐性を決定する要因は、ALMT1の遺伝子型と発現量の両方であるが、特に発現量の違いがより強くA1耐性に関わっていると考えられた。
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Research Products
(20 results)