2002 Fiscal Year Annual Research Report
酵母における脂質の取り込み、変換、排出に至る過程の分子機構の解明とその応用
Project/Area Number |
14206010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 明徳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30125885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 良一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50323481)
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Keywords | Saccharormyces cerevisiae / Candida maltosa / Yarrowia lipolytica / cytochrom P450ALK / alkane assimilation / fatty acid ω-oxidation / phospholipid / peroxisome |
Research Abstract |
本研究は酵母という、細菌よりも大型で、膜オルガネラ系によって区画化された細胞を持つ生物を材料として、脂溶性物質の取り込み、変換、排出に至る、有用物質生産のための細胞工場としての基本を解明する基盤的研究である。以下に本年度の研究のうち、比較的成果のまとまったものについて述べる。 酵母Yarrowia lipolytica用いてヘキサデカンの取り込みを調べたところ、この取り込みは恐らくはATPを必要とするエネルギー依存の系であり、グリセロールによって抑制されることが示された。また、パーオキシソームの形成あるいは機能不全の変異株ではヘキサデカンの取り込みは著しく抑制されたことから、ヘキサデカンの初発酸化を行うチトクロームP450ALKをコードするALK1遺伝子の発現と同様に、ヘキサデカン酸化物の蓄積によって取り込み系の誘導が抑制されるものと考えられた。ALK1とALK2を同時に破壊するとより低分子のアルカンによって生育ができなくなるのであるが、ヘキサデカンの取り込み能は発現に遅れが見られたものの、基本的には誘導された。今後はここで見られた取り込みが真に細胞の中への取り込みであるのか、取り込まれたと考えられるヘキサデカンがどのような分子形態であるのか、それはヘキサデカン特異的な取り込みであるのか、等を検討する予定である。 酵母Y.lipolyticaのALK1のアルカンによる発現誘導に必要なプロモータ領域を欠失解析によって検討した結果、翻訳開始コドン上流の-400から-304の領域が該当することが明らかとなった。この領域は二つの小領域からなることが推定されたので、さらに詳しい解析をタンパク質の結合領域を検討したところ、それらは-394から-371、-325から-305の各独立した小領域であったので、それぞれARE1、ARE2と命名した。今後はこれらに結合する転写因子の同定を行う予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Sumita, T.Iida, et al.: "Peroxisome deficiency represses the expression of n-alkane-inducible YlALK1 encoding cytochrome P450ALK1 in Yarrowia lipolytica"FEMS Microbiology Letters. 214. 31-38 (2002)
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[Publications] H.-S.Lee, K.Miyauchi, et al.: "Employment of human estrogen receptor β ligand-binding domain and co-activator SRC1 nuclear receptor binding domain for the construction of a yeast two hybrid detection system for endocrine disrupters"J.Biochem.. 131. 399-405 (2002)
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[Publications] T.Sumita, T.Iida, et al.: "YlALK1 encoding the cytochrome P450ALK1 in Yarrowia lipolytica is transcriptionally induced by n-alkane through two distinct cis-elements on its promoter"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 294. 1071-1078 (2002)
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[Publications] U.Kato, K.Emoto, et al.: "A novel membrane protein, Ros3p, is required for phospholipid translocation across the plasma membrane in Saccharomyces cerevisiae"J.Biol.Chem.. 277. 37855-37862 (2002)
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[Publications] A.Makino, T.Baba, et al.: "Cinnamycin (Ro 09-0198) Promotes Cell Binding and Toxicity by Inducing Transbilayer Lipid Movement"J.Biol.Chem.. 277(in press). (2002)