2004 Fiscal Year Annual Research Report
酵母における脂質の取り込み、変換、排出に至る過程の分子機構の解明とその応用
Project/Area Number |
14206010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 明徳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30125885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 良一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50323481)
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Keywords | Saccharomyces cerevisiae / Candida Maltosa / Yarrowia lipolytica / cytochrome P450ALK / alkane assimilation / fatty acid ω-oxidation / phospholipid / peroxisome |
Research Abstract |
本研究は酵母という、細菌よりも大型で、膜オルガネラ系によって区画化された細胞を持つ生物を材料として、脂溶性物質の取り込み、変換、排出に至る、有用物質生産のための細胞工場としての基本を解明する基盤的研究である。昨年度はこの取り込み系が確かにアルカンによって誘導されるものであること、および、取り込み実験系が、酵母細胞に吸着されたアルカンを測定しているのではなく、細胞にエネルギー依存的に取り込まれたものを測定していることを示すことができた。別のアルカン資化酵母Candida maltosaについてもアルカンの取り込みが、Y.lipolyticaの場合と同様であることも明らかにすることができた。以下に本年度の研究成果について述べる。 酵母Y.lipolyticaのALK1アルカンによる発現誘導に必要なプロモータ領域因子であるARE1に依存した遺伝子発現に異常を示す突然変異株の相補遺伝子YAS1の構造を解析した結果、bHLHモチーフを有し、Saccharomyces cerevisiaeのリン脂質合成系遺伝子の転写調節因子INO4と相同性を示した。一般にbHLHモチーフを有する転写因子はホモ二量体あるいは類似性のあるbHLHモチーフを有する他のタンパク質とのヘテロ二量体としてDNAに結合する傾向がある。そこで、YAS1pのbHLH領域と似た配列を有する遺伝子YAS2をゲノム情報データベースを検索して見出し、これをクローン化した。ゲノム上のYAS2を破壊するとYAS1破壊株の場合と同様にアルカン資化能を欠いていた。Yas2pはYaslpと相互作用することから、Ino4pの場合におけるIno2pに相当する転写因子であることが明らかになった。 Candida malosaの長鎖ジカルボン酸(DCA)生産菌にCmCDR1遺伝子を多コピーベクターに載せて導入したところ、ベクターのみを有する場合に比べて30%から50%のDCA生産の増加が見られた。これはCmCDR1の高発現が長鎖DCAの生産の改善に役立つことを示すものである。
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Research Products
(4 results)