2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14206017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 進一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60191409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島谷 健一郎 統計数理研究所, 調査実験解析系, 助手 (70332129)
吉丸 博志 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝領域, 生態遺伝研究室長(研究員) (20353914)
戸丸 信弘 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (50241774)
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Keywords | マイクロサテライト / 遺伝的構造 / 空間自己相関 / 遺伝的変異 / 遺伝子流動 / 繁殖成功 / 分子生態 / 長期調査プロット |
Research Abstract |
本研究は、天然林に設置されている長期モニタリングサイトにおいて、分子生態遺伝学的手法を用いて、個体レベルと遺伝子レベルの構造と動態の解明、そのモデル化による現象の説明と予測、繁殖に関わる特性の解明を目的としている。平成14年度には主に以下の研究成果が得られた。 1.龍良山照葉樹老齢林および近隣の二次林におけるスダジイ成木集団の遺伝構造解析をマイクロサテライトマーカーを用いて行った。その結果、両者の遺伝的変異に有意な差異は見られなかったものの老齢林においては50mの距離階級において対立遺伝子の空間自己相関が見られるなど構造が存在したのに対して、二次林では全く構造が見られなかった。 2.龍良山照葉樹老齢林において、ウラジロガシの種子の父性解析をマイクロサテライトマーカーを用いて行い、花粉流動および成木の父性繁殖成功度に影響する要因を明らかにする研究を行った。その結果、交配の46%はプロット内で成立していたが、残りの54%はプロット外からの花粉流動により生じていた。また、花粉親の父性繁殖成功度は主に種子親までの距離に依存していることがわかった。 3.大山ブナ老齢林において、ブナ成木集団の遺伝構造解析をマイクロサテライトマーカーを用いて行った結果、集団内に弱い構造が存在することがわかった。また、この構造はプロット内で不均一であり、ササのない東側でより強く、ササのある西側では存在しなかった。 4.大山ブナ老齢林の林床に分布するヒメモチパッチを対象にRAPDマーカーを用いて、クローン多様性とパッチ内・パッチ間の遺伝的変異を調べた。その結果、クローン多様性が高いこと、パッチ間の遺伝的分化は有意に高いが、パッチ間には空間的遺伝構造が存在しないことがわかった。 5.これらのデータのための空間的解析手法の開発に先立ち、これまでの手法を検討して問題点を指摘し、その統計量の再解釈を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ueno, S: "Size-class differences in genetic structure and individual distribution of Camellia japonica L. in a Japanese old-growth evergreen forest"Heredity. 89・2. 120-126 (2002)
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[Publications] 高橋誠: "遺伝マーカーを用いた樹木集団内遺伝構造の空間解析手法"統計数理. (印刷中).
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[Publications] Shimatani, K.: "On the methods of spatial analysis for genotyped individuals"Heredity. (in press).
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[Publications] Miura, M.: "Structure and dynamics of a Castanopsis cuspidata var. sieboldii population in an old-green broad-leaved forest : the importance of sprout regeneration"Ecological Research. (in press).
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[Publications] Torimaru, T.: "Clonal diversity and genetic differentiation in Ilex leucoclada M. patches in an old-growth beech forest on Mt. Daisen, Japan"Molecular Ecology. (in press).
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[Publications] Fujita, T.: "Canopy structure in a temperate old-growth evergreen forest analyzed by using aerial photographs"Plant Ecology. (in press).