2005 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロン遺伝子発現制御による着床と妊娠の成立
Project/Area Number |
14206032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今川 和彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00291956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 仙吉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80114487)
田中 智 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (90242164)
堀 正敏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (70211547)
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Keywords | 遺伝子 / 発現制御 / 動物 / 着床 / インターフェロン |
Research Abstract |
本研究の目的は、反芻動物の胚トロホブラスト細胞が妊娠・着床時のみに発現するインターフェロン・タウ(IFNτ)遺伝子の発現制御機構を明らかにすることによって、この遺伝子発現を人為的に制御する実験システムを構築する。それをベースに反芻動物の着床過程を再現する実験システム構築を図り、着床のメカニズムを明らかにすることである。 IFNτ遺伝子の発現機構、特にトロホブラスト細胞特異的な発現と着床期のみに発現するメカニズムを解明することが第一の目的であった。この研究実施最終年に、トロホブラスト細胞特異的な発現を解明することができた。具体的には、Cdx2という核タンパクを強制発現すると、IFNτ遺伝子の発現が30倍以上に上昇する。これは、これまでのどの発現制御機構解明システムでも成しえなかったことであった。さらに、このタンパクが確実にヒツジ・トロホブラスト細胞内に存在し、またIFNτ遺伝子の上流域に結合することも証明した。このデータは2005年の国際繁殖学会(Society for the Study of Reproduction)にて発表されただけではなく、Molecular Reproduction and Development(2006年5月号)に掲載される。しかしながら、IFNτ遺伝子の時期特異的発現の解明までには至らなかった。 子宮単離細胞などを駆使しながらケモカイン(IP-10,MIG,ITAC)に関連あるいは連動する遺伝子の発現解析とその制御でもかなりの知見を得ることができた。これは2004年秋と2005年秋のアメリカ農務省での実験(Dr.Ron Christensonとの16年に亘る共同研究)での成果であり、トロホブラスト細胞においてケモカインレセプターを介して数々のインテグリン分子の発現が上昇することを突き止めた。これもMolecular Reproduction and Developmentに掲載されることが決まっている。 ハッチィング煎後期における遺伝子発現の解析(これはIFNτ遺伝子の時期特異的な発現の解明には必須である)は思うような結果を得ることができなかった。ウシ胚のハッチィング前後のRNAは独立行政法人 農業技術研究機構九州沖縄農業研究センターの共同研究者・高橋昌志氏より供与された。そのRNAを本学獣医学専攻遺伝子解析ショップにてDNAアレイ解析を試みた。ところが、送られたRNAでは最初の逆転写反応がうまくいかず、非常に貴重なRNAサンプルではあったがアレイ解析までもっていくことができなかった。現在(2006年3月現在)もRNA回収に努めている。 ヒツジES・TS細胞の開発は頓挫している。研究分担者の田中智助教授の教えを請いながらTS細胞の樹立を数回試みた。しかし、マウスでは可能なTS細胞の樹立が、ヒツジでは困難を極めた。また、初代培養細胞は形質の転換が著しく体外培養系での「着床現象」の遺伝子再構築には至らなかった。今後も、この方向の研究は続けていく。
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Research Products
(7 results)