2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ主要組織適合遺伝子領域のゲノム解析と抗病性家畜作出のための基盤技術の開発
Project/Area Number |
14206035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
間 陽子 理化学研究所, 分子ウイルス学研究ユニット, 研究ユニットリーダー (50182994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹嶋 伸之輔 理化学研究所, 分子ウイルス学研究ユニット, 協力研究員 (60342812)
田島 茂 理化学研究所, 分子ウイルス学研究ユニット, 基礎科学特別研究員 (60311346)
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Keywords | ウシMHO(BoLA)クラスIIDRB3 / PCR-Sequence-Based Typing(SBT)法 / 抗原認識部位(ARS) / ヒツジMHCクラスIIDRB1アリル / BLV誘発性の白血病発症 / MHC拘束性CD4陽性細胞 / IFN-γ / IL-2 |
Research Abstract |
1)ウシMHC(BoLA)クラスIIDR抗原の進化と特徴 BoLAクラスII分子の中でDRA及びDRB3によりコードされるDRが最も機能的で多型に富み、ウシの免疫応答の個体差に深く関わっていると考えられる。本研究では、ヒトMHC(HLA)-DR分子との比較解析によって、ウシDR分子の特徴を明らかにした。ホルスタイン種、黒毛和種、ジャージー種および日本短角種471頭、のBoLA-DRB3アリルをPCR-Sequence-Based Typing(SBT)法によって同定し、そのアリル頻度を計算した。その結果、38種類のアリルが同定され、その中で新規アリルは3種類であり、いずれも黒毛和種から見いだされたものであった。次に、頻度情報に基づき有根系統樹を描いたところ、ジャージー種と他の3品種は別の枝に属していた。更に各品種ごとのDRB3遺伝子のアミノ酸および塩基置換を計算したところ、いずれの値も既知の全てのDRB3遺伝子103種類のそれとほぼ同じであった。一方、これらの値とHLA-DRB1236種類のそれを比較検討すると、ウシはヒトと異なり、変異の多くが非同義置換である事が示された。また、ヒトとウシの抗原認識部位(ARS)を比較した結果、ウシはARSの非同義置換数が極めて高く、非ARSとの差異がヒトに比べ大きい事が示された。そこで、各アミノ酸の選択圧をSuzukiとGojoboriの方法を用いて計算したところ、ARSにおける負の選択圧サイトはヒト比べ少なく、ヒトとウシで選択圧の異なるアミノ酸サイトが存在した。これはウシとヒトで機能部位が異なる事を示唆しており大変に興味深い。 2)牛白血病ウイルス感染症における免疫応答に対するヒツジMHCクラスIIDRB1アリルの影響 我々は、ヒツジMHC(OLA)-DRβ鎖の70-71位のアミノ酸残基がArg-Lys(RK)或いはSer-Arg(SR)をコードするアリルが牛白血病ウイルス(BLV)誘発牲の白血病発症に対して抵抗性或いは感受性に関与することを報告してきた。本年は、ヒツジ52頭の中からRKまたはSRをホモで有するヒツジを選別し、BLVを実験感染させた。感染後30週目までのウイルス動態を調べた結果、2群に明瞭な差異が認められなかった。一方、感染初期においてRK保有ヒツジはCD5陽性B細胞の増加及び中和抗体の高い誘導が認められた。感染後30週目での末梢単核球のトリチウムサイミジン取込み試験において、RK保有ヒツジではBLV及びエンベロープ由来Thエピトープペプチドに対する応答性が高く、一方、SR保有ヒツジではBLV及び、Tc及びBエピトープペプチドに対する応答性が高かった。このBLV対して増殖性を示す細胞はMHC拘束性CD4陽性細胞であった。さらにこの実験系において、R/K保有ヒツジではIFN-γが、S/R保有ヒツジではIL-2が強く発現していた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tajima S., et al.: "Mutant Tax protein from bovine leukemia virus with ability to activate the expression of c-fos"J.Virology. 76. 2557-2562 (2002)
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[Publications] Tajima S., et al.: "Amutant form of the Tax ptrotein of bovine leukemia vitus (BLV) with enhanced transactivaton activiy, increases the expression and propagaion of BLV in vitro but not in vivo."J.Virology. 77. 1894-1903 (2003)
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[Publications] Takeshima S., et al.: "Characterization of DRB3 alleles in the MHC of Japanese Shorthorn cattle by polymerase chain reaction-sequence-based typing"J.Dairy Science. 85. 1630-1632 (2002)
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[Publications] Tajima S., et al.: "Latency of viral expression in vivo is not related to CpG methylation in the U3 and part of the R region of the long teminal repeart of bovine leukemia virus"J.Virology. (in press). (2003)
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[Publications] Konnai S., et al.: "The influence of ovine MHC class IIDRBI alleles on immuno response in bovine leukemia virus in fection"Microbiol.Immunol.. (in press). (2003)