2004 Fiscal Year Annual Research Report
クロライドチャネルの細胞死誘導機能とその活性制御メカニズム
Project/Area Number |
14207002
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
岡田 泰伸 生理学研究所, 細胞器官研究系, 教授 (10025661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SABIROV Ravshan 生理学研究所, 細胞器官研究系, 助教授 (60322632)
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Keywords | クロライドチャネル / 細胞死 / ネクローシス / 過興奮毒性 / 虚血 / 細胞容積調節 / ニューロン / 心筋細胞 |
Research Abstract |
Cl^-チャネルは、神経や筋肉などの興奮性細胞においては"バックグラウンド"的役割を果しているが、上皮細胞においてはNaClと水の分泌・吸収機能に直接的に関わっている。最近、細胞の容積調節や、増殖や分化にもCl^-チャネルは本質的な役割を果していることが明らかにされはじめている。本研究では、これらの機能に加えて、C1^-チャネルの新しい一般生理学的機能として細胞死誘導機能が加えられることを明らかにした。 本年度は、ニューロンのグルタミン酸過興奮毒性と、心筋における虚血傷害によるネクローシス死におけるクロライドチャネルの役割を調べた。 初代培養マウス大脳皮質神経細胞をNMDAで刺激(いわゆる過興奮毒性刺激)したときに、細胞体の膨張と樹状突起の局所的膨張(いわゆるvaricosity形成)がみられた。このときに、グルタミン酸レセプター・カチオンチャネルのみならず、容積感受性外向整流性(VSOR)アニオンチャネルの活性化が観察された。VSORアニオンチャネルブロッカー(NPPBやphloretin)によってNMDA刺激後の細胞体膨張もvaricosity形成も共に抑制された。NMDA刺激を3時間持続させると神経細胞はネクローシス死に陥ったが、VSORアニオンチャネルブロッカーによってこのネクローシス死の発生は著しく抑制された。 次に、ラット初代培養細胞に虚血(グルコース除去・無酸素、3時間)処理した後に再灌流(グルコース再添加・再酸素化、96時間)処理を行うと心筋細胞はネクローシス死を示した。このネクローシス死は、PKAとPKCの両方を活性化するというCFTRチャネル活性化条件によって有意に抑制された。ラット心臓をin vivoで虚血(30分間)・再灌流(2日間)し、心筋梗塞を発生させたところ、PKAとPKCの両活性化剤を静脈注射しておくと、梗塞巣は著しく縮小することが明らかになった。
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Research Products
(6 results)