2005 Fiscal Year Annual Research Report
清掃作業者のダイオキシン曝露による発癌リスク及び生殖障害に係る歴史的コホート研究
Project/Area Number |
14207018
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
毛利 一平 独立行政法人産業医学総合研究所, 有害性評価研究部, 主任研究官 (70275345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 康恭 独立行政法人産業医学総合研究所, 作業条件適応研究部, 部長 (60167319)
甲田 茂樹 高知医科大学, 医学部看護学科地域看護学, 教授 (50205332)
熊谷 信二 大阪府立公衆衛生研究所, 生活環境部生活衛生課, 課長 (50250329)
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Keywords | ごみ焼却作業 / ダイオキシン / 発がんリスク / 生殖毒性 / 男女比 / コホート研究 |
Research Abstract |
1)2005年3月末に9,105名で確定したコホート(曝露群:2,866名、非曝露群:6,239名)を対象として、児の成否について解析を行った。個々の対象者について、飛灰に接触する可能性のある期間と、当該期間における飛灰への接触の頻度(焼却炉や煙道など、飛灰への接触が確実な場所で作業を行う頻度)をダイオキシン曝露の代理指標として、曝露を評価した。そうして得られた曝露の指標と、児の成否の関連について解析を行った。飛灰への曝露期間のみ、曝露頻度のみ、曝露期間と曝露頻度の組み合わせなど異なる曝露代理指標のうち、飛灰への曝露期間については、統計学的に有意ではないものの、長くなるほど女児の比率が多くなる傾向が認められた。この傾向は、母親の出産経験、出生時における父親の年齢、出生年の要因を同時に調整した場合でも同様に認められた。ただし、最も曝露期間が短い群で非曝露群よりも男児が多い結果となっており、飛灰曝露と子供の性比に関連があるとするには根拠が弱く、現段階で明確な結論は得られない。なお、これらの成果は25th International Symposium on Halogenated Environmental Organic Pollutants and Persistent Organic Pollutants(第25回ダイオキシン国際会議)において発表した。 2)がん死亡リスクの評価を行うため生存調査を実施する予定であったが、市町村合併に対応し現住所データを更新することを優先した。このため、年度内に生存調査を終了することはできなかった。今後さらに追跡を継続してゆく予定である。 3)飛灰への曝露をダイオキシン曝露の代理指標とすることの妥当性について、対象者の一部でダイオキシンの血中濃度測定を行い検討した。17のPCDD/DF異性体のうち、HpCDFで弱い相関が認められた。これは過去の知見と一致しており、今回われわれが用いた代理指標による曝露評価の妥当性を、一定程度支持する結果と考えている。
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