2003 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化の進展に関与する炎症・感染と抗酸化物質の相互作用に関する大規模疫学研究
Project/Area Number |
14207019
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
磯 博康 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50223053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 敏 国立健康・栄養研究所, 部長
佐藤 眞一 大阪府立健康科学センター, 部長
谷川 武 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (80227214)
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Keywords | 動脈硬化 / 脳卒中 / 虚血性心疾患 / 炎症 / 感染 / 抗酸化物質 / コホート研究 |
Research Abstract |
本研究は動脈硬化の進展,虚血性心疾患、脳卒中の発症に関与すると考えられる炎症・感染と抗酸化物質の相互作用を分析し、日本人において動脈硬化性疾患の効率的な予防を行うための疫学データを得ることを目的とする。そのために、日本人住民40〜79歳男女約10万人をコホート対象として、nested-case control studyの手法を用いて、その中から虚血性心疾患、脳卒中の発症・死亡例と性、年齢、地域をマッチさせた対照例に対して、高感度C反応性蛋白(hs-CRP)、肺炎クラミジア、ヘリコバクターピロリの抗体価、抗酸化物質、従来の動脈硬化関連要因を測定し、リスクヘの関与を分析する。さらに、同コホート内で頚動脈エコー検査により、頚動脈硬化の有病並びに進展への関与を断面及び追跡調査によって分析する。 平成14年度、15年度においてhs-CRP測定の標準化と栄養データベースの構築を完了した。平成16年度はhs-CRP、肺炎クラミジア・ヘリコバクターピロリ感染、抗酸化物の摂取と循環器疾患リスクに関するコホート研究を中心に進めた。4地域コホートの中から、脳卒中の発症者(150例)と性、年齢、地域をマッチさせたコントロール(1:3)に対し、血清ホモシステインを測定した。血清ホモシステイン高値(11.0mg/dl以上)は脳梗塞並びにラクーナ梗塞の発症に対するオッズ比が約4倍と強い危険因子として見い出された。本研究成果は循環器疾患領域のトップジャーナルであるCirculationに公表予定である。また、多目的コホートコホート研究において、抗酸化物質である大豆製品(ダイゼイン)の摂取が脳梗塞の発症に抑制的に働くことや、大規模コホート研究において抗酸化物質の豊富な果物の摂取が全脳卒中の発症に抑制的に働くことが示された。 大規模コホート研究の9年間の追跡調査で確定した脳卒中、虚血性心疾患の死亡例とその対照例(性、年齢、集団をマッチング)計1,000例について保存血清中のhs-CRP、感染抗体価(肺炎クラミジア、ヘリコバクターピロリ)、ホモシステイン、α、γ-トコフェロール、総コレステロールの測定が完了した。来年度、同様の測定を多目的コホート研究の対象者に行い、循環器疾患との関連を分析する計画である。
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