2004 Fiscal Year Annual Research Report
心筋構築の複雑性がスパイラルリエントリーに及ぼす影響
Project/Area Number |
14207034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 香一郎 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50194973)
本荘 晴朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (70262912)
佐久間 一郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50178597)
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Keywords | スパイラルリエントリー / 光学マッピング / 心室細動 / 心室頻拍 / 抗不整脈薬 / 活動電位 |
Research Abstract |
心臓突然死の主要な原因不整脈である心室細動や持続性心室頻拍の発生に、渦巻き型の興奮旋回(スパイラルリエントリー)が重要な役割を果たすことが示され、致死性不整脈の発生機構や薬物治療の面から注目を集めている。これまでの本研究の結果から、二次元的な心室標本におけるスパイラルリエントリーでは、電気緊張効果による機能的ブロックラインの形成、興奮前面の湾曲に伴う局所電流減少の効果(湾曲効果)、および、心筋の形態やギャップ結合配列に基づく興奮伝導特性の異方性が、旋回ダイナミクスを規定していることが明らかになった。今年度の研究では、活性化の速い遅延整流K電流(I_<Kr>)を選択的に遮断して活動電位や不応期を延長する第III群抗不整脈薬nifekalantが心室スパイラルリエントリーに及ぼす効果について、ウサギ摘出灌流心の活動電位光学マッピングにより検討した。その結果、nifekalant作用下のスパイラルリエントリーでは、(1)機能的ブロックラインが延長するとともに、旋回経路が一拍毎に不規則に変化し(choatic meandering)、(2)興奮前面と再分極終末部との相互作用による興奮波の分裂や雄回中心の突然の移動が頻繁に起こるようになり、(3)スパイラルリエントリーが比較的早期に自然停止した。これらより、nifekalantによる再分極遅延は、心室スパイラルリエントリーの旋回を不安定にして、その成立を妨げることが判明した。この作用は"mother rotor"タイプの心室頻拍や細動の発生・維持を抑制する効果があると考えられる。一方、興奮前面と再分極終末部との相互作用による興奮波分裂の促進は、頻拍から"multiple wavelet"タイプの細動への移行を促す可能性が示唆される。Naチャネルを選択的に抑制するlidocaineは、このnifekalantによる活動電位延長およびスパイラルリエントリーの持続抑制作用を減弱させた。心室細動による心肺停止時の除細動時にnifekalantとlidocaineを連続して使用する際には、このような薬物併用の効果についても注意を払う必要があると考えられる。
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Research Products
(4 results)