2003 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系の活性化とOX40/OX40L系を利用した造血器腫瘍の免疫療法
Project/Area Number |
14207041
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
内山 卓 京都大学, 医学研究科, 教授 (80151900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門脇 則光 京都大学, 医学研究科, 助手 (60324620)
堀 利行 京都大学, 医学研究科, 講師 (70243102)
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Keywords | 自然免疫 / アジュバンド / 抗腫瘍免疫 / OX40 / OX40 リガンド / 樹状細胞 / 腫瘍ワクチン |
Research Abstract |
本研究では、自然免疫系の活性化とOX40/OX40L系を利用して、造血器腫瘍に対して有効な免疫療法を開発することを目的とし、本年度は、この方法の有効性を示す以下のような研究成果が得られた。 (1)大腸癌細胞株CT26の担癌マウスにアジュバントであるlipid A誘導体ONO-4007を封入したPEG-リポソームを静注すると、3日後には腫瘍巣に多数の好中球が集積し腫瘍の縮小がみられた。この腫瘍縮小における好中球の役割を検討するために、抗Gr-1抗体投与で好中球を除去すると、むしろ腫瘍のさらなる縮小がみられた。このことから、Gr-1+サプレッサー細胞の減弱化が、自然免疫系の活性化を利用した抗腫瘍免疫の誘導とって重要であると考えられた。 (2)リンパ腫細胞株EL4にマウスOX40Lをトランスフェクトして安定発現株EL4-OX40Lおよびそのmockコントロール株EL4-mockを作成した。親株とこれらのトランスフェクタント株をC57/B6マウスの皮下に1×10^5接種し、造腫瘍性を比較したところ、親株およびEL4-mockではすべてのマウスで早期に腫瘍の生着が認められたのに対して、EL4-OX40Lでは、腫瘍の増殖が遅延し、一部のマウスでは全く生着しなかった。また、EL4-OX40Lを接種したマウスの脾細胞中にEL4-OX40Lだけでなく、親株に対する特異的な細胞傷害活性が認められた。 (3)AML患者より分離した白血病細胞にレトロウイルスベクターLZRSを用いてOX40Lを形質導入し、同時にSCF、Flt3L、GM-CSFを用いて樹状細胞(DC)様細胞に分化させた。OX40L形質導入細胞は、サイトカインだけの白血病細胞由来DC様細胞やmock導入細胞に比べて、allo CD4+T細胞の増殖とIFN-γ産生の誘導活性が増強していた。 以上の結果から、ONO-4007は抗腫瘍免疫のエフェクター作用を増幅する活性を有すること、また、OX40Lワクチンによって造血器腫瘍に対する特異的免疫応答を誘導しうることが示された。これらを組み合わせることによって有効な腫瘍ワクチンを作成できるのではないかと期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Soshi Yanagita et al.: "Retroviral transduction of acute myeloid leukemia-derived dendritic cells with OX40 ligand augments their antigen presenting activity."Br.J.Haematol.. 124. 454-462 (2004)
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[Publications] Toshio Kitawaki et al.: "Compromised recovery of natural interferon-α/β-producing cells after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation complicated by acute graft-versus-host disease and glucocorticoid administration"Bone Marrow Transpl. 32. 187-194 (2003)
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[Publications] Norimitsu Kadowaki et al.: "Immunotherapy exploiting the versatility of dendritic cells."Therap.Apher.Dial.. 7. 312-317 (2003)
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[Publications] Takayuki Ishikawa et al.: "Ganne Monograph on Cancer Research"Japan Scientific Societies press. 253-262 (2003)