2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管攣縮-新たな血小板由来脂質mediatorを介するrhoの関与-
Project/Area Number |
14207053
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 富男 九州大学, 医学研究院, 教授 (10134561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 延人 群馬大学, 医学部, 教授 (60262002)
横山 信彦 九州大学, 医学研究院, 助手 (50294939)
名取 良弘 九州大学, 医学研究院, 講師 (00264036)
登坂 雅彦 群馬大学, 医学部, 助手 (40323357)
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Keywords | クモ膜下出血 / 脳血管攣縮 / 血管平滑筋 / Rho-kinase / ミオシン軽鎖 / トロンビン / トロンビン受容体 |
Research Abstract |
脳血管攣縮という血管平滑筋の異常収縮におけるCa^<2+>感受性増強機序に関与が指摘されているRhoA/Rho-kianse pathwayについて研究をすすめた。 まず、ウシ中大脳動脈における、トロンボキサンA_2(TXA_2)の収縮機序を解明した。TXA_2は血小板から放出される強力な血管収縮物質であり、脳血管攣縮における攣縮物質の一つと考えられている。TXA_2刺激により、Ca^<2+>感受性の増強を伴う収縮を引き起こした。そしてこのCa^<2+>感受性の増強機構においてミオシン軽鎖(MLC)リン酸化に依存した機序とMLCリン酸化に依存しない機序が存在することが分った。さらにRho-kinase阻害剤はこれら二つの機序を抑制し、Ca^<2+>感受性の増強を伴うTXA_2収縮を弛緩させた。つまり、脳血管攣縮におけるRho-kinase活性化は、攣縮血管においてMLCリン酸化依存性及びMLCリン酸化非依存性による収縮を引き起こしている可能性を示唆する。 次にウサギクモ膜下出血モデルを用いて、脳血管攣縮におけるRho A/Rho-kinase pathwayの上流の一つとされるアゴニスト:トロンビンとその受容体protease-activated receptor 1(PAR1)の関与について検討した。トロンビンもまた攣縮物質として重要な因子と考えられている。クモ膜下出血後の脳底動脈に対して、高濃度K^+脱分極刺激やエンドテリン-1刺激による収縮には有意な変化を認めなかったが、トロンビン刺激において過剰収縮を引き起こした。PAR1活性化ペプチドでも過剰収縮を引き起こし、このトロンビンによる過剰収縮はPAR1を介するものと考えられた。そしてクモ膜下出血後の脳底動脈において、PAR1の発現増加とPAR1の脱感作の障害を認め、これらがクモ膜下出血後の脳底動脈におけるトロンビンの過剰収縮を引き起こしていると考えられた。また、クモ膜下出血後のクモ膜下腔におけるトロンビン活性の亢進がPAR1発現亢進を引き起こすことも示唆された。以上のことから、今後クモ膜下出血後の脳血管攣縮におけるRho-kinaseの役割をさらに解明できるものと考えている。
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Research Products
(1 results)