Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡林 清司 山口大学, 医学部, 助教授 (50127627)
笠岡 俊志 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90243667)
石川 敏三 山口大学, 医学部, 教授 (90034991)
藤澤 博亮 山口大学, 医学部, 講師 (50238565)
鶴田 良介 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (30263768)
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Research Abstract |
急性重症脳障害(心肺停止,脳卒中,頭部外傷など)の予後は非常に悪く,その病態解明と治療法の開発は急務である.これらの病態では従来のメカニズム以外に免疫・内分泌反応が関与するとの発想の転換を行い,その病態解明と治療法開発の基礎研究を行った. (臨床研究) 1.心肺停止・蘇生患者26例でXe-CT脳血流,磁気共鳴画像を評価し,脳半球の血流量が30ml/100g/分未満でアセタゾラミド反応性の悪い症例とT1W1強調画像で基底核に高信号域があれば予後不良であった. 2.心肺停止・蘇生患者24例で脳脊髄液(CSF)と血清のニューロン特異性エノラーゼ(NSE)と内頚静脈酸素飽和度(SjvO2)を測定し,神経学的予後(Glasgow outcome scale : GOS)で比較検討した.予後不良例ではNSEはCSF,血清ともに上昇し,Sjv02は高値を示した. 3.くも膜下出血術後患者9例でCSFのインターロイキン(IL)-6,腫瘍壊死因子(TNFα)とCSFのhigh mobility group box 1(HMGB1:晩期メディエータ)の関連を検討し,それぞれ正の相関があり,上昇した値はそれぞれ経日的に減少した. 4.くも膜下出血術後患者16例のCSFでラジカル関連物質の8-OH-2-deoxyguanosine (8-OHdG)とNOx (NO2^-+NO3^-)を測定した.8-OHdGは脳血管攣縮の有り(6例),無し(10例)間に有意差はなかったが,経日的に上昇傾向を示し,NOxと弱い相関を認めた. (基礎研究) 新生仔ラットミクログリアの初代培養細胞は内毒素刺激によりNO2+NO3(NOx)と炎症性サイトカイン(TNFα,IL-1β,IL-6)が著明に上昇する.抗炎症薬のインドメタシンはNOx, IL-6の上昇を著明に抑制した.しかし,TNFαの上昇は抑制できなかった.また,ヒトの単球は傷害脳に入る可能性があるが,ヒト培養単球は内毒素刺激により各種サイトカインを著明に放出する.これが33℃の環境下ではIL-1β,IL-6,TNFαなどの炎症性サイトカイン放出が増加した.動物実験は自然発症高血圧ラットにより脳虚血モデルを作成し,乳酸蓄積抑制剤に脳保護効果があることを証明したが,ミクログリアや単球の培養細胞で証明し得た免疫抑制薬,抗炎症薬,温度下降の効果をみるには至らなかった. 以上の結果から急性重症脳障害患者の予後予測には脳血流量やSjv02が判定指標となり,病態にはCSFのラジカル関連物質の上昇,炎症性サイトカインの上昇がみられ,その背景にミクログリアや単球が関与することが示唆された.
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