2005 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌に対する転移抑制遺伝子の同定と遺伝子診断・治療システムの構築
Project/Area Number |
14207061
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
市川 智彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20241953)
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Keywords | 前立腺癌 / 転移 / 転移抑制遺伝子 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
前立腺癌には前立腺特異抗原(PSA)という有用な腫瘍マーカーがあるが、これを補完するものやキープレーヤー遺伝子が探索されている。本研究は、これらの遺伝子を同定し、前立腺癌の診断のみならず遺伝子治療の基礎を築くことを目的とする。 本年度も引き続き同意を得た前立腺癌摘除標本から、LCM装置を用いて微量な組織を採取し、遺伝子診断に用いるための良質な核酸を抽出した。このDNAを用いて、引き続き染色体CGH解析を行い、さらに欠失および増幅している領域を解析した。その結果、2q,4q,6q,8p,13q,16q,18qに欠失が高頻度にみられた。これらの異常のうち8pと13qの欠失はpT2よりもpT3において頻度が高かった。また、13qの欠失を認めた症例において病理学的悪性度が高く、6qの欠失を認めたもので生化学的再発までの期間が短かった。これらの領域は、PCR-LOH法により同定されていた領域とほぼ一致しており、LCM装置とCGH解析を用いた診断法が臨床的に有用であることを示した。 前立腺癌の治療にはアンドロゲンを除去する内分泌療法が有効であるが、アンドロゲン受容体に関連する異常がおきると治療抵抗性になり死に至る。そこでアンドロゲン受容体について解析し、エクソン1にあるCAG繰り返し配列数が長くテストステロン値が高い患者において予後が良好であることを示した。また、アンドロゲン依存性喪失の機序について過去の報告をまとめ、それらはアンドロゲン受容体に依存した変化と全く依存しない変化の二つに分類可能であることを総説として示した。また以上の研究成果を臨床に応用するため、臨床症例そのもののまとめや解析も行い論文として報告した。
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Research Products
(17 results)