2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14207068
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 壽一 京都大学, 医学研究科, 教授 (90176339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 隆之 京都大学, 医学研究科, 助手 (50335270)
辻 純 京都大学, 医学研究科, 助手 (30252448)
内藤 泰 京都大学, 医学研究科, 講師 (70217628)
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Keywords | 感音難聴 / 内耳 / 聴神経 / 再生 / 幹細胞 / 移植 |
Research Abstract |
本研究の最終自標は、聾者を含めた高度感音難聴者の聴覚の回復にある。感音難聴の原因は様々であるが、病態としては、大部分が内耳の感覚細胞(有毛細胞)の障害である。感覚細胞の再生が可能となれば、一度喪失した聴覚の再獲得も可能と思われる。従来、内耳感覚細胞は一度障害を受けると再生は困難とされてきた。本研究の目的は、近い将来の臨床応用を目指すべく、まず動物を用い、各種神経成長因子や幹細胞を利用して、障害を受けた内耳有毛細胞や中枢聴覚路の再生を試み、感音難聴に対する基礎研究をおこなうことである。 本年度は動物(主にラットやマウス)を用い、障害を受けた内耳有毛細胞や聴覚中枢が自然再生することがありうるかどうか検討した。動物(主にラットやマウス)を用い中枢聴覚路の一部におよび内耳の有毛細胞に障害を与えた。それらが自然再生するかどうかは、中枢部位に関しては、神経軸索を輸送される各種トレーサーを用いて検討する。内耳に関しては、光学顕微鏡および電子顕微鏡にて組織学的に検討した。その結果、中枢聴覚路は動物が幼若であれば再生する場合もあるが、成動物では再生が認められなかった。しかし、障害部位に胎仔の一部を移植する事により、一部再生が認められた。これは胎仔脳組織から神経栄養因子が分泌されたからではないかと推測され、自然再生を誘導する手段になると考えられた。一方、内耳有毛細胞を音響外傷、耳毒性薬物で傷害し、そこに神経幹細胞、胚性幹細胞などを移植すると、移植細胞の一部は内耳有毛細胞に分化した。この結果は将来高度感音難聴の治療として、幹細胞移植方法を使用する可能性を示唆するものである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 伊藤 壽一: "難聴と遺伝カウンセリング"耳鼻咽喉科臨床. 95巻1号. 1-5 (2002)
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[Publications] 伊藤 壽一: "内耳感覚細胞再生によるへ平衡障害の改善"Equilibrium Research. 61巻2号. 109-111 (2002)
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[Publications] 伊藤 壽一: "人工内耳の将来"特集 感覚器障害の臨床Update日本医師会雑誌. 127巻9号. 1492-1496 (2002)
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[Publications] 伊藤 壽一: "奇形・重複障害児の人工内耳"耳鼻咽喉科・頭頸部外科. 74巻11号. 777-780 (2002)
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[Publications] 伊藤 壽一: "耳鼻咽喉科臨床に対するEBM"耳鼻咽喉科臨床. 96巻1号. 1-5 (2002)
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[Publications] 伊藤 壽一: "内耳の再生"特集 再生医療の現状と将来展望 日本医師会雑誌. 129巻3号. 352-354 (2002)