2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム機能解析による口腔内・経粘膜レンサ球菌感染症の分子病態の解明
Project/Area Number |
14207074
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜田 茂幸 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60028777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 成史 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50311759)
中川 一路 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70294113)
川端 重忠 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50273694)
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Keywords | Streptococcus pyogenes / ゲノム再構成 / ゲノム進化 / ファージ / 比較ゲノム解析 |
Research Abstract |
劇症型A群レンサ球菌感染症に罹患・死亡した日本人患者より分離されたA群レンサ球菌Streptococcus pyogenes(SSI-1株;血清型M3)の全ゲノム配列を決定し,米国で分離された皮膚感染株(SF370株;血清型M1),リウマチ熱由来株(MGAS8232株;M18型)および劇症株(MGSA315株;M3型)との比較ゲノム解析を行った.その結果,SSI-1株は全長1,894,275bpの環状染色体からなり,プラスミドは保持していなかった.また,ゲノム中に6カ所のファージ挿入部位が認められた.推定ORFのアノテーションを行ったところ,既に報告されている多くの病原性遺伝子は,他の菌株と大きな変化は認められなかった.興味深いことに,ファージにコードされるスーパー抗原などの病原因子はSSI-1株のみならず他の株でも認められるものの,他株とは異なるファージ上にコードされていることが明らかとなり,ファージによる病原遺伝子の著しい変化が認められた.これらの病原遺伝子の遺伝子の変化について,一塩基多型(SNP)解析を行ったところ,本菌の血清型を決定すると共に,付着・定着に関与しているMタンパク遺伝子をコードしている領域およびFCT領域と呼ばれるフィブロネクチン結合タンパク質をコードしている遺伝子の領域のみに遺伝子の変化が集中していることが明らかとなった.そこで,SSI-1株のファイブロネクチン結合タンパク質遺伝子が,従来報告されているものとは異なる点に着目して機能解析を行ったところ,本タンパク質が劇症株のみで発現していることが示唆され,劇症化株での付着・定着に関与することが示唆された.
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Research Products
(1 results)