2003 Fiscal Year Annual Research Report
う蝕活動性診断を目的とした臨床用小型pHセンサーの開発
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14207079
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田上 順次 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50171567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北迫 勇一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30361702)
中島 正俊 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (50272604)
二階堂 徹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00251538)
中西 剛 株式会社堀場製作所, 基礎技術開発部, 主任研究員
野村 聡 株式会社堀場製作所, 基礎技術開発部, 研究統括マネージャー
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Keywords | う蝕活動性 / pH / pHイメージング光走査型化学顕微鏡 / 小児う蝕象牙質 / PCR法 / 微小引張り強さ / MEMS技術 / ISFETセンサー |
Research Abstract |
田上ならびに二階堂は、う蝕を有する抜去乳歯のう蝕活動性について、pHイメージング光走査型化学顕微鏡を用いて、そのpH分布を調べた。その結果、乳歯う蝕象牙質における最小pH値は、成人急性および慢性う蝕象牙質における、各々最小pH値の中間値を示し、臨床的にう蝕が重度であれば最小pH値も低くなる傾向を示した。しかしながら、歯根吸収の程度とう蝕象牙質最小pH値に関する明瞭な関連性は得られなかった。北迫は、成人う蝕象牙質中における、最小pH値を示した1mm×1mm×1mmサンプルから、PCR法を用いて各種う蝕原因細菌(S. mutans, S. sobrinus, Lactobacilli)の検出を行った。その結果、う蝕象牙質最小pH値部より、Lactobacilliが高頻度に検出され、同う蝕原因細菌がう蝕象牙質におけるう蝕活動性(最小pH値)に大きく関与する可能性が示唆された。中島は、う蝕象牙質に対する各種接着性レジンボンディングシステムの微小引張り強さについて検討し、いずれの接着システムでもう蝕罹患部の方が有意に低い接着強さを示した。野村ならびに中西は、小型の計測装置を得る上で必要な、MEMS(Micro Electrical Mechanical Systems)を用いた2つのセンサー:口腔内pH直接測定用ISFETセンサーおよび唾液性状測定用小型センサーを試作した。口腔内pH直接測定用ISFETセンサーは、う蝕部を含む抜去歯スライス表面にイオン交換水を滴下し、試作した小型pHセンサーと手製の比較電極を接触させ、pH値の信号が得られることがわかった。また、スライス内の健全部、う蝕部にそれぞれ小型pHセンサーの測定部を接触させたところ、pH値の差に有意差があることが確認できた。測定上の問題点として、センサー面と比較電極液絡部をスライス面へ同時に接触させる操作に手間がかかる上、再現良く接触が達成できていないことから、今後センサー形状の更なる改良が必要であると思われる。また、センサー形状の更なる小型化も、口腔内直接測定としては必要条件である。一方、唾液性状測定用小型センサーは、陽極接合を用いて、シリコンとガラスの接合から形成した唾液粘性測定用センサーを試作した。シリコンウエハをエッチングして溝を堀り、ガラスを接合するという単純なものであるが、これまで粘度測定では標準法と考えられている、キャピラリーへの液体吸上げとほぼ等価な測定を実現した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hiraishi N., Kitasako Y., Nikaido T., Foxton RM., Tagami J., Nomura S.: "Evaluation of active and arrested carious dentin using a pH-imaging microscope and an X-ray analytical microscope."Operative Dentistry. 28・5. 598-604 (2003)
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[Publications] Hiraishi N., Kitasako Y., Nikaido T., Nomura S., Burrow MF., Tagami J.: "Effect of artificial saliva contamination on pH value change and dentin bond strength."Dental Materials. 19・5. 429-434 (2003)
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[Publications] Hiraishi N., Kitasako Y., Nikaido T., Foxton RM., Tagami J., Nomura S.: "Acidity of conventional luting cements and their diffusion through bovine dentine."International Endodontic Journal. 36・9. 622-628 (2003)
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[Publications] Foxton RM., Nakajima M., Hiraishi N., Kitasako Y., Tagami J., Nomura S., Miura H.: "Relationship between ceramic primer and ceramic surface pH on the bonding of dual-cure resin cement to ceramic."Dental Materials. 19・8. 779-789 (2003)
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[Publications] Elkhatib H., Nakajima M., Hiraishi N., Kitasako Y., Tagami J., Nomura S.: "Surface pH and bond strength of a self-etching primer/adhesive system to intracoronal dentin after application of hydrogen peroxide bleach with sodium perborate."Operative Dentistry. 28・5. 591-597 (2003)