2002 Fiscal Year Annual Research Report
難治性根尖性歯周疾患における細菌バイオフィルムの実態と抑制に関する多面的研究
Project/Area Number |
14207080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
恵比須 繁之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50116000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金森 市朗 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 日本学術振興会特別研究員
野杁 由一郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50218286)
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Keywords | 難治性根尖性歯周疾患 / 細菌バイオフィルム / 根尖孔外バイオフィルム / 16S rRNA / 遺伝子解析法 / Porphyromonas gingivalis / クローニング / 自己凝集 |
Research Abstract |
難治性根尖性歯周疾患には根尖孔外の細菌バイオフィルムが関与しているが、バイオフィルムを構成する細菌種の詳細は全く未解明である。本年度は、根尖孔外のバイオフィルム形成細菌種を16S rRNA遺伝子解析法により検索した。その結果、供試した7名の難治性根尖性歯周炎患者の抜去歯牙、あるいは歯根端切除術より得られた根尖部歯牙断片に形成された根尖孔外バイオフィルムからは、599クローンより94細菌種が同定された。Porphyromonas sp.は24.5%を占め、その中でもPorphyromonas gingivalisは21.9%で、最も高頻度で検出された。その他、Bacteroides forsythusやFusobacterium nucleatumがそれぞれ5%以上の検出率で同定され、辺緑性歯周炎の病原性細菌とされている細菌種のいくつかは、特にP.gingivalisが難治性根尖性歯周炎と密接に関与していることが明らかとなった。一方、培養不可能な細菌が8.9%検出されこれらが根尖性歯周疾患の難治化に関与している可能性が示唆された。 得られた結果に基づき,P.gingivalisのバイオフィルム形成に関与すると推察されるglycosyltransferaseをコードする遺伝子のクローニングおよびその役割解析を行った。その結果、11個のputative glycosyltransferaseのORFを同定し、その1つ(gtfA)は248のアミノ酸からなりN末端にglycosyltransferaseのドメインを有していることを見いだした。さらに、P.gingivalis381株を用いgene targetingによりこの遺伝子をエリスロマイシン耐性遺伝子で置換してgtfA遺伝子欠損株を作製した後、野生型P.gingivalis381株と比較検討したtころ、gtfA遺伝子欠損株においては自己凝集能の低下がみられ、gtfA遺伝子はP.gingivalisの自己凝集に必須の遺伝子であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Takemura N, et al.: "Correlation between extraradicular biofilm and systemic disordera preliminary study"Jouranal of Dental Research. 81 Special Issue. 446 (2002)
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[Publications] 恵比寿 繁之: "プラークをバイオフィルムとして捉える-オーラルバイオフィルムの実態と科学"歯科衛生士. 別冊. 8-21 (2002)
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[Publications] Noiri Y.et al.: "Participation of bacterial biofilm in refractry and chronic periapical periodontitis"Journal of Endodontics. 27・10. 679-683 (2002)
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[Publications] 成松 雅博: "Porphyromonas gingivalisのputative glycosyltransferase geneのクローニングおよびそのバイオフィルム形成における役割解析"Bacterial Adherence & Biofilm. 16(印刷中). (2003)
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[Publications] 恵比寿 繁之: "バイオフィルム(Bacterial Biofilm):最近話題の用語-知っておきたい豆知識-"小児科. 増刊号特集(印刷中). (2003)