2003 Fiscal Year Annual Research Report
変動電場による局所麻酔薬分子の組織内移送に関する研究
Project/Area Number |
14207088
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
海野 雅浩 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90014125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝地 貴夫 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (90323724)
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Keywords | イオントフォレーシス / 交流電場 / ドラックデリバリー / 局所麻酔薬 / 経皮的送達 |
Research Abstract |
イオントフォレーシス(Iontophoresis : IOP)に関する研究とその臨床応用は古くから行われてきた。現在までに臨床応用されたのは直流電流によるIOP (DC IOP)である。しかし、DC IOPによる人体への通電では、発赤や火傷を生じやすく、また電極海面におkる分極形成により浸透効率の低下という欠点がある。我々は、交流電流によるIOP (AC IOP)を試み、薬物を経皮的に送達できることを明らかにしてきた。今までの実験においては平行平板型の電極を使用して、リドカインの送達を確認してきたが、より薬物を効果的に送達できるよう円周電極と円形電極を組み合わせ、ドナーセルと一体になった新型電極を開発した。セロファン膜を用いたin vitroおよび全身麻酔下のヘアレスラット腹部皮膚でのin vivoにてそれぞれこの電極を使用し、AC IOPによるリドカインの送達を試みた。正弦波、周波数1kHz、電圧20Vの通電条件でドナーセル内の1%リドカインに対して10分間通電を行った。レセプター側のリドカイン濃度をHPLCで測定したところ、in vitroで約0.12%、in vivoでは約0.29%となり、自然拡散の場合に比べてリドカインの濃度が有意に増加していた。このことから新型電極によりリドカインを経皮的に送達できることが証明された。この結果を踏まえて、この新型電極の形状や通電条件などにさらに検討を重ねていけば、ヒトへの臨床応用は近いと考えられる。
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