2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔・顔面・頭頚部愁訴に関する研究-ストレスの自律神経系応答と身体表現について-
Project/Area Number |
14207089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小野 繁 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40103501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 恵 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00134734)
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Keywords | 心身相関 / 慢性ストレス / 心理社会的背景 / 身体表現性障害 / 器官選択 / 筋緊張 / 自律神経系応答 / 不定愁訴 |
Research Abstract |
頭頸部の不定愁訴はストレスによる生体反応といわれているが,その発現機序は未だ不明な点が多い。われわれは頭頸部不定愁訴モデルを作製し,慢性ストレスにより持続的な緊張が頭頸部領域に筋緊張を発現させ(心身相関),様々な愁訴を発現させるとの仮説をで研究を行っている。今年度は舌痛症について研究を行った。舌痛症は近年,精神医学的要素の強い疾患で,心身症の症例は少ないといわれていた。しかし,われわれは舌痛症を頭頸部不定愁訴の一分症と位置づけ,筋電図による生体信号により心身相関の検討を行った。まず舌筋群の筋電図検査を行ったところ基準群と比較して舌筋群の安静時放電が大きく,また心身医学的な治療による改善とともに安静時筋放電の減少がみられたことから心身相関により筋緊張が舌痛症に何らか作用していることが示唆された。次に身体の筋緊張は自律神経系を介して生じることから自律神経機能について舌痛症症例で検討を行った。自律神経機能の検査は心拍変動の周波数解析により交感神経系・副交感神経系の評価を行った。結果は,舌痛症患者は基準群より交感神経系の冗進と副交感神経系の不活性がみられた。とくに舌痛症状が強い群では副交感神経系の顕著な不活性がみられ筋緊張の主体は交感神経系の緊張だけではなく,副交感神経系の不活性により相対的な緊張が生じている可能性が示唆された。また舌痛症患者の心身医学的な治療経過の推移を観察すると,症状の改善と副交感神経系の活性化で有意な相関関係が得られた。これからも心身相関の証明とともに舌痛症患者では副交感神経系の不活性により生じる相対的な緊張が症状の発症・経過に関与している可能性が示唆された。 今後は,これらの研究を頭頸部不定愁訴の一分症と位置づけている顎関節症・緊張型頭痛・呑気症などに応用していく予定である。
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