2005 Fiscal Year Annual Research Report
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14207096
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
楠見 武徳 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70015882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 高 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (00203696)
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Keywords | NMRスペクトル / 核磁気共鳴 / 絶対配置 / NMR現象 / NMR溶媒効果 / アレン / リン / C-Pカップリング |
Research Abstract |
海洋天然物や合成医薬に含有されるアレン官能基の絶対配置決定法を確立した。アレンの絶対配置についてはこれまで有効な決定法が存在しなかった。本研究では、電子吸引基を有するアレンに対してキラルなニトロン(MPO)を作用させると立体・位置特異的に1,3-双極子付加反応が起こり、元のアレンの絶対配置が決定できることを見出した。また、電子供与基と結合したキラルアレンを合成し、それらについてMPOとの反応性と立体特異性を解析することにより、アレンの絶対配置を簡便かつ確実に決定する方法論を確立した。この方法は有機化学者に最も普遍的であるNMRスペクトルを利用するもので、今後、多くの化学者に使用されることが期待される。 リン原子はATPや核酸等の生体分子に含まれる重要な元素である。リン原子は核スピンが1/2であり、NMRスペクトルにおいて隣接する水素原子や炭素-13原子と大きくカップリングする。一方、有機化合物を積極的にリン酸化させて構造研究に用いる方法は全く存在しなかった。本研究においてはリンと炭素-13原子とのカップリング(C-Pカップリング)を多数のモデル化合物を作成する事により詳細に検討し、両原子間の結合数や空間的な位置配置とC-Pカップリングの大きさとを研究分担者と共に体系化した。さらに、構造未知の化合物にリン原子を有する試薬を結合させ、C-Pカップリングを解析することにより天然薬物分子の構造決定に利用する「P原子導入による天然物の構造決定法」を確立した。 二級アルコールの絶対配置決定に用いられる教科書的な方法論「新Mosher法」は我々が開発したものであるが、NMRスペクトルを重クロロホルム中で測定することが必須と考えられていたが、本研究において、新Mosher法は重ベンゼン、重ピリジン、重メタノール等の溶媒でも全く問題なく使用できることを見出した。
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Research Products
(2 results)