2003 Fiscal Year Annual Research Report
循環器系疾患における組織および血管内での活性酸素動態の無侵襲解析
Project/Area Number |
14207105
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内海 英雄 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (20101694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 登與志 九州大学, 医学研究院, 講師 (00294926)
安井 久喬 九州大学, 医学研究院, 名誉教授 (20089923)
竹下 彰 九州大学, 医学研究院, 名誉教授 (30038814)
輿石 一郎 九州大学, 薬学研究院, 助教授 (20170235)
門司 晃 九州大学, 医学研究院, 助手 (00294942)
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Keywords | 生体計測ESR / フリーラジカル / スピンプローブ / 活性酸素 / 循環器疾患 / 無侵襲解析 / 心不全 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
循環器疾患に関与するフリーラジカルは、実質系細胞障害のように細胞内で産生される場合と、炎症性浸潤細胞のように細胞外に産生される場合があり、各々の機能は異なる。生体計測ESR・スピンプローブ法によりこのようなフリーラジカル産生場の特定を目的として、物理的・化学的性質の異なる各種ニトロキシルラジカルの循環器系疾患動物モデル体内における挙動特性を解析した。 我々は先に、心不全における心筋障害に心筋細胞内で産生されるヒドロキシルラジカルの関与を示唆した。ヒドロキシルラジカルは過酸化水素からFenton反応により産生されることから、過酸化水素の代謝酵素であるグルタチオンパーオキシダーゼ(GPx)を過剰発現させたトランスジェニックマウス(Tg)を用い、心不全に伴う心筋障害について検討を行った。その結果、心不全誘発GPx-Tgマウスでは心不全誘発野生型マウスに比べ、脂質過酸化抑制、生存率の上昇が有意に認められ、さらには、心筋肥大、アポトーシス、間質線維化の低下が認められた。これらの結果は、心不全に伴う心筋細胞障害に、細胞内過酸化水素産生系の亢進に伴うヒドロキシルラジカル産生亢進の関与を立証するものである。 さらに、我々はマウス脳における中大脳動脈の血流を停止し虚血状態とした後再灌流を行い、脳虚血再灌流障害モデルを作成し、各種ニトロキシルラジカルを用いた脳内フリーラジカル産生を評価した。その結果、細胞膜非透過性ならびに細胞膜微透過性のスピンプローブによってフリーラジカル反応を検出することができた。また、この時期は脳浮腫の誘導前であることから、フリーラジカル産生は、血管近傍におけるコンパートメントで起こり、浮腫の誘導に関与することを明らかにした。 現在、MRI-ESRIの画像を融合することで、循環器系におけるフリーラジカルの産生場の特定を試みており、フリーラジカル産生場と障害部位との関連を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shiomi T, Tsutsui H, Matsusaka H, Murakami K, Hayashidani S, Ikeuchi M, Wen J, Kubota T, Utsumi H, Takeshita A: "Overexpression of glutathione peroxidase prevents left ventricular remodeling and failure after myocardial infarction in mice"Circulation. 109(4). 544-549 (2004)
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[Publications] Ago T, Kitazono T, Ooboshi H, Iyama T, Han YH, Takada J, Wakisaka M, Ibayashi S, Utsumi H, Iida M: "Nox4 as the major catalytic component of an endothelial NAD(P)H oxidase"Circulation. 109(2). 227-233 (2004)
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[Publications] Yamato M, Egashira T, Utsumi H.: "Application of in vivo ESR spectroscopy to measurement of cerebrovascular ROS generation in stroke"Free Radic Biol Med.. 35(12). 1619-1633 (2003)
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[Publications] Matsumoto S, Kosiishi I, Inoguchi T, Nawata H, Utsumi H.: "Confirmation of superoxide generation via xanthine oxidase in streptozotocin-induced diabetic mice"Free Radic Res.. 37(7). 767-772 (2003)
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[Publications] Inoguchi T, Sonta T, Tsubouchi H, Etoh T, Kakimoto M, Sonoda N, Sato N, Sekiguchi N, Kobayashi K, Sumimoto H, Utsumi H, Nawata H.: "Protein kinase C-dependent increase in reactive oxygen species (ROS) production in vascular tissues of diabetes : role of vascular NAD(P)H oxidase"J Am soc Nephrol. 14(8). S227-S232 (2003)