Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
茅根 創 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60192548)
春山 成子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (10267461)
小口 高 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教授 (80221852)
横山 祐典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (10359648)
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Research Abstract |
アジアモンスーンの数千年スケールでの長期変化を復元するため,日本海南部隠岐堆の海底コア,三重県雲出川流域のボーリングコアを解析し,日本海の水温は21000年前から17000年前には現在より高く,ヤンガードライアス期には約5℃急激に低下していたこと,後氷期に東アジア夏季モンスーンに関係したと思われる1-2千年周期の変動が存在する事がわかった。約1700・4200・6200年前には黒潮起源の暖流の日本海への流入の弱まりと東シナ海沿岸水の流入の強化がほぼ同時に起こっており,この頃に揚子江集水域における夏季モンスーン性降雨が強まったものと考えられる。雲出川流域においても約6000年前には堆積速度が大変に速く,洪水の頻発が考えられる。また,琉球列島南端の石垣島において,サンゴ年輪とサンゴ礁コアを採取し,数十年〜数百年スケールでの古環境変動復元を行った。 近年洪水が頻発するバングラデシュにおいて,GISとリモートセンシングデータによって,20世紀後半におけるブラマプトラ川の河道変遷と洪水との関係を検討し,過去の河道が約10年周期で河川の平衡状態への接近と乖離とを繰り返したことがわかった。また,バングラデシュにおける大洪水の発生は,雨季には大きな被害をもたらすものの,引き続く乾季においては,大幅な収量増加がみられることを見出した。バングラデシュに流入する河川上流域のネパールでの降水特性を検討し,ネパールでの豪雨の頻発年がバングラデシュにおける洪水年には対応していないことがわかった。 現在の気候データを用いた気候変動研究に多用されているNCEP/NCARの長期再解析データの地上気圧データには,1980年以前のユーラシア大陸中部において,地点の観測データとは一致しない不自然な変動がみられることを見出し,アジアモンスーンの長期変動解析にはこのデータを使用することは不適切であることが判明した。
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