2003 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素による健康障害の評価法と食生活による予防に関する栄養学的研究
Project/Area Number |
14208010
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小城 勝相 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (10108988)
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Keywords | 活性酸素 / ラジカル / 動脈硬化 / 生活習慣病 / ビタミンC / ビタミンE / 肝障害 / 細胞死 |
Research Abstract |
1.我々が開発した酸化ストレス指標である脂質ヒドロペルオキシドは老化促進モデルマウス(SAM)の臓器で対照群に比較して有意に高いことを見いだした。特にP-8とよばれる老人ぼけモデルマウスでは、生後1ヶ月は対照群と記憶力も変わらない。このときの脳のヒドロペルオキシド量も対照群と同じである。しかし、2ヶ月後に記憶障害が現われる時期には、脂質ヒドロペルオキシド量は対照群よりも有意に高くなった。このことは、ぼけに酸化ストレスが関与することを示している。 2.我々は以前にLDLのラジカル反応で糖鎖の末端のシアル酸とタンパク質部分のアポBが分解することを報告した。今回、単離LDLおよび血漿のラジカル反応においてその反応性を比較したところ、ビタミンEおよびアポBの方がシアル酸より、はるかに反応性が高いことを見出した。この事実は、酸化ストレス指標としてはアポB分解のほうがすぐれているが、シアル酸の修飾はマクロファージの認識を引き起こす可能性があり、動脈硬化の発症における重要性については過小評価できないと考えられる。 3.今でも汎用される農薬であるパラコートは、ラジカル反応を引き起こして肺に障害を与えることが確立している。パラコート投与により、肺においてビタミンCは酸化ストレスによって減少するが、Eは血漿からの動員によって増加することが判明した。この結果は、これまで肝臓で得られた結果と同じであり、ビタミンCの方が酸化ストレスをより直接的に反映することが判明した。 4.D・ガラクトサミンはこれまで肝臓に典型的な壊死を引き起こすとされている。しかし、今回、ラットにD・ガラクトサミンを投与すると肝臓にアポトーシスを引き起こすことを、組織学的に明らかにした。同時にCaspase-3の活性化が起こることも示した。また、肝臓での脂質ヒドロペルオキシドの増加とビタミンCの減少から、壊死において大きな酸化ストレスがかかることも証明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] F.Yasui, M.Ishibashi, S.Matsugo, S.Kojo, Y.Oomura, K.Sasaki: "Brain lipid hydroperoxide level increases in senescence-accelerated mice at an early age"Neurosci.Lett.. 350. 66-68 (2003)
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[Publications] N.Matsukawa, Y.Nariyama, R.Hashimoto, S.Kojo: "Higher reactivity of apolipoprotein B-100 and α-tocopherol compared to sialic acid moiety of low density lipoprotein (LDL) in radical reaction"Bioorg.Med.Chem.. 11. 4009-4013 (2003)
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[Publications] K.Ikeda, Y.Kumagai, Y.Nagano, N.Matsuzawa, S.Kojo: "Change in the concentration of vitamins C and E in rat tissues by paraquat administration"Biosci.Biotech.Biochem.. 67. 1130-1131 (2003)
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[Publications] F.Sun, E.Hamagawa, C.Tsutsui, N.Sakaguchi, Y.Kakuta, S.Tokumaru, S.Kojo: "Evaluation of oxidative stress during apoptosis and necrosis caused by D-galactosamine in rat liver"Biochem.Pharmacol.. 65. 101-107 (2003)
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[Publications] M.Kodera, K.Kawata, K.Kano, Y.Tachi, S.Itoh, S.Kojo: "Mechanism for aerobic oxidation of 3,5-di-tert-butylcatechol to 3,5-di-tert-butyl-o-benzoquinone catalyzed by di-μ-hydroxo-dicopper (II) complexes of peralkylated ethylenediamine ligands"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 76. 1957-1964 (2003)