2005 Fiscal Year Annual Research Report
対話言語としての手話の記述法のための認知機構解析に関する基礎研究
Project/Area Number |
14208030
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Research Institution | KOGAKUIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長嶋 祐二 工学院大学, 工学部, 教授 (50138137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 熹 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80241933)
神田 和幸 中京大学, 教養部, 教授 (70132123)
原 大介 愛知医科大学, 看護学部, 講師 (00329822)
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Keywords | 手話 / 手話工学 / 認知科学 / 対話解析 / 話者交替 / コーパス / 画像通信 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
平成17年度は、対話の分析、対話による認知およびリズムメカニズム解析に焦点を当てた解析を行った。また、手話の動きの電子コーパス、視線、脳波などによる生理計測データ、および、映像が同期した電子コーパスの収集を行った。以下に本年度得られた主な結果を示す。 1)対話に関する認知的メカニズムでは、遅延の影響に注目し遅延検知限に関する実験とオピニオン評価より100〜200msであることを明らかにした。その結果、音声会話と比較して、手話は遅延に関して寛容であることを示した。 2)生理的な側面での言語認知メカニズム解析では、事象関連電位N400計測に基づいた意味処理過程解析の検討を行った。また、手話・文字による意味的逸脱単語、無意味語を収集し、刺激呈示を行いその事象関連電位を収集した。その結果、手話・文字による意味的逸脱単語でN400が観察され電位は文字刺激で大きいことがわかり、呈示モダリティによって処理過程の違いを示した。 3)視覚認知的なモデルでは、頭頂部・肩・肘位置・手首・指先の位置のみの輝点(手話動作の特徴点のみの呈示)手話読み取り評価と視線追跡により、手話母語者の高い読み取り率を確認した。これは、脳内の言語辞書処理が健聴者と異なっていることを示唆し、N400の結果と一致している。 4)手話の記述では、提案しているsIGNDEXおよびNVSG形態記述をもとに、アニメーション描画のためのエディタの概念の基本設計および電子データの収集を行い、手話の弁別特徴からの描画の可能性を検証した。電子コーパスからの弁別特徴の抽出を行なうことで、未知単語の生成が可能となった。 また、計画最終年度のため、本研究計画全体から得られた成果の報告書を作成した。尚、本研究を通して得られた成果は、電子情報通信学会論文誌・学会誌などに掲載あるいは掲載予定である。さらに、対話における話者交替現象は昨年のHCII2005で発表を行ない大きな関心を集めた。遅延検知限や対話のメカニズムは、国際会議(ICCHP,TISLR)に採択され発表準備中である。記述を基にしたアニメーションエディタは、研究協力者と共にWeb上に公開準備中である。 以上のように、本年度研究目的、実施計画ならびに研究期間を通し、十分な成果を得ることができた。
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Research Products
(18 results)