2002 Fiscal Year Annual Research Report
放射光単色X線マイクロビーム細胞照射装置を用いた低線量放射線生物影響の研究
Project/Area Number |
14208069
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
小林 克己 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (20114077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前澤 博 徳島大学, 医学部, 教授 (00138653)
宇佐美 徳子 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (60232807)
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Keywords | 低線量生物効果 / 放射光単色X線 / マイクロビーム / バイスタンダー効果 / 個別細胞照射装置 |
Research Abstract |
本年度の目的は、細胞の大きさと同じかそれ以下の細いビームで、細胞を照射するマイクロビーム照射装置を開発することである。 本研究で開発されるシステムは以下の要素技術を組み合わせることによって実現できる。 1.単色X線放射線マイクロビームの形成およびマイクロビーム線量計測法の開発。 2.顕微鏡下における自動細胞認識あるいは細胞核認識方法、および位置合わせ法の確立。 3.培養細胞を生理条件を損ねることなくマイクロビームで照射する方法の開発。 このうち、1についてはほぼ確立したK-Bミラー法に加えて、調整の容易なスリットシステムも導入した。2に関しては、蛍光顕微鏡に精密自動ステージと高感度CCDカメラを組み合わせて、細胞の蛍光画像の検出感度を確認し、短時間のうちに細胞あるいは細胞核を認識することが出来た。この作業を迅速に行うためには、画像処理を自動化し、座標確認も自動化する必要がある。このためのソフトウエアは小林がマイクロピーム照射装置を開発した経験をもつ英国グレイ研究所から仕様に関する情報を得て開発した。このソフトは自動ステージをも同時に制御して、最大1cm角のエリアで細胞を自動認識・検出・座標取得を行なうことが出来る。3に関しては生きたまま培養細胞を自動ステージに再現性よく乗せることが出来る特殊な培養皿を開発した。これにより細胞は生理的な条件を保ちながら、培養室と照射装置の間を往復できることになった。 以上の要素を組み合わせて照射装置を組み上げて、各種テストを行なった。その結果、当初の予定通り、生きた細胞の状態を損なうことなしに、自動的に細胞認識を行なうことが出来、特定の細胞だけが照射されてその周りの細胞は照射されていないことを確認できた。
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