2004 Fiscal Year Annual Research Report
1分子イメージング法による神経成長円錐ガイダンス機構の解明
Project/Area Number |
14208083
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原田 慶恵 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10202269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 知己 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (80332378)
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Keywords | シグナル伝達 / 神経成長円錐 / 可視化 / 1分子 |
Research Abstract |
我々は神経成長因子(NGF)に蛍光色素Cy3を標識し、この蛍光NGFを用いて、NGFが神経末端に存在する成長円錐膜上の受容体と結合し、取りこまれた後に逆行性軸索輸送によって細胞体に送られる過程を解析している。こ昨年までの研究で、NGFは、成長円錐膜上の受容体と結合し、初めラメリポディア膜上で2次元拡散運動をおこし、やがて、細胞内アクチンメッシュワークの動きによって成長円錐の周縁から中心部に向かって集められることが明らかになった。今年度は、受容体と結合したNGFがどのようなプロセスに沿って成長円錐細胞内に取りこまれるのかを、1分子観察を通して明らかにした。NGFと受容体trkAの結合親和性は、酸性環境下によって大きく低下することが知られている。成長円錐の培養液のpHを中性から酸性にすみやかに変化させると、すでにエンドサイトーシスによって細胞内にとりこまれたNGFと受容体の複合体は成長円錐に留まるが、細胞外に露出した受容体と結合するNGFは、成長円錐から解離する。実験の結果、酸性培養液への置換後、成長円錐のラメリポディアに分布していたほとんどのNGFが成長円錐から解離したのに対して、成長円錐の中心部に集積したNGFはほとんど解離しなかった。この結果は、ラメリポディアで観察されるNGFの大部分が、細胞外に露出した受容体と結合していることを示唆している。アクチンの流動にともなってラメリポディアを移動するNGFは、培養液の酸性化にともなって解離するもの(約24%)と、成長円錐に留まるもの(約76%)の2種類が観察されたが、より成長円錐中心部に近づいていたNGFほど、培養液の酸性化後も成長円錐に留まる傾向が多いことが明らかとなった。このことは、アクチン流動にともなうNGF・受容体複合体の輸送途中で、複合体のエンドサイトーシスがおこっている事を示唆している。
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Research Products
(7 results)