2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14208088
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸本 健雄 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (00124222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 英一 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (00323808)
立花 和則 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (60212031)
大隈 圭太 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (20221822)
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Keywords | 細胞周期 / 減数分裂 / 受精 / 前核形成 / DNA複製 / Mos-MAPキナーゼ / p90Rsk / サイクリン-Cdk |
Research Abstract |
世代の交代を通してゲノムの恒常性を維持していく機構を解明するために、細胞周期制御と核構築制御を包括的に解析した。 1.[卵減数分裂の遂行]ヒトデ卵減数第一/第二分裂移行と第二分裂完了後のG1期停止はMos-MAPキナーゼ(MAPK)経路の下で制御されていることを以前に示したが、いずれの場合も、MAPKの直下ではp90Rskが機能していることが判明した。しかも第一/第二分裂移行については、p90RskとPlk1(polo-like kinase 1)が協調的に働いている可能性が判明した。これらの知見は、卵減数分裂周期制御におけるp90Rskの役割について、新たな局面を切り開くものである。 2.[精子核と卵子核の再構築]受精に際し、雄性前核と雌性前核とは減数分裂が完了して初めて融合する。今回、ヒトデ卵で減数分裂中はなぜ融合が実現しないのかを解析した結果、Mos-MAPK経路が精子核星状体形成を負に制御していることが判明した。これは、受精によって減数分裂完了後にはMos-MAPK経路が不活性化されることと良く符合している。さらに、このあとの両前核の融合にはCdk(cyclin-dependent kinase)が正に働いている可能性を見出した。これはCdkの機能として、全く新規なものである。 3.[受精卵におけるS期開始]ヒトデ成熟卵における受精によるDNA複製開始は、Cdc45(DNA polymerase αの付加因子)のクロマチンへの付加の抑制の解除によることを前年に示した。今回、この抑制解除には、サイクリンA、B、Eのいずれをも必要としないことが確かめられた。現在、Cdc7キナーゼの必要性について検討中である。これらにより、受精によるS期開始という生物学上の古典的課題に対する解答を得たい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Okano-Uchida, T.他: "Distinct regulators for Plk1 activation in starfish meiotic and early embryonic cycles."EMBO J.. 22. 5633-5642 (2003)
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[Publications] Terasaki, M.他: "Localization and dynamics of Cdc2-cyclin B during meiotic reinitiation in starfish oocytes."Mol.Biol.Cell. 14. 4685-4694 (2003)
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[Publications] Kishimoto, T.: "Cell cycle control during meiotic maturation."Curr.Opin.Cell Biol.. 15. 654-663 (2003)
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[Publications] Uchida, A.他: "Morphological and biochemical changes of neurofilaments in aged rat sciatic nerve axons."J.Neurochem.. 88. 735-745 (2004)
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[Publications] Kishimoto, T.: "More than G1 or G2 arrest : Useful starfish oocyte system for investigating skillful MAP kinase."Biol.Cell. 96(印刷中). (2004)
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[Publications] 岸本健雄: "減数分裂周期の制御機構-世代の交代に際してゲノムの恒常性を維持するためには-"学術月報(日本学術振興会). 56. 1253-1257 (2003)
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[Publications] 竹内隆, 岸本健雄: "発生における細胞増殖制御(編集)"シュプリンガーフェアラーク東京. 198 (2004)